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仕事部屋

ぼやいてる場合じゃない。

恵比寿の南側の裏通りに、よい靴屋がある。
主に修理を請け負う店だが、数点の靴や革小物も販売している。
持ち込むと、大概の修理はその場でやってくれるので、
デパートなどに入っているチェーンの修理店と同じくらいに早いし、
そうしたところより、安い。
行くと、お洒落な長身のおじさまが出てきて、
「修理をお願いします」と言うと、奥から、丸顔の、にこにこしたお兄さんが出てきて。
私の差し出した古靴を「心惹かれる靴ですねえ」なんて言い乍ら受け取ってくれる。
「昔の靴は革がいいから、磨きを入れさせてもらってもいいですか」などと言って、
サービスでぴかぴかの新品みたいに磨いてくれるのだ。
それまでは、大阪にある料金の安い修理専門店に宅配便で送っていたのだけど、
最近は、もっぱら、ここに持って行く。
なんだか気持ちいいのよ。
場所は、ポ・ブイユの近くです。

ポ・ブイユも名店だね。
たまに行くと、その後の数日は、「美味しかったなあ」なんてうっとり思い出す。
主に、打ち合わせで使うのだけど。

長篇の打ち合わせになると、編集者の、いろんな名言を聞くことができる。
「これが駄目なら後がないと思ってください」
「ここらでひと勝負してください」
「これを墓標にしてください」
…墓標って…。

「なんかないかね」「ないんで、適当に」「そうか。じゃあ適当に」
という間の抜けた会話が繰り返される龍昇との打ち合わせとは違う 笑

今年の夏に書いて没にされた戯曲は、再来年の秋に龍昇企画でやることになった。
私は演出をします。出ません。多分。いや、出るかもしれないけど。
それに先だって、来年の秋には、久々にワークショップをやろうという企画もある。
その前に、私は墓標を残せるんだろうか。

いい案が出ると、書きたくてうずうずする、というのが作家の性質なのだろうが、
私の場合、あんまりにもいい案なので、これ誰か巧く書いてくれないものか、と考えてしまう。
もう、逃げ腰はやめたい。


11/15から、ソフトバンクのコンテンツ「徳間書店モバイル」が始まる。
既刊「すべての愛の1%」がダウンロードできます。
ポケットにいつも変態を。

12/4からは、ライブドアの携帯サイト「ケータイlivedoor」で、
書き下ろし小説「ブルーハーツ」の連載が開始。
月曜から金曜まで、毎日更新
どれくらいの期間の連載になるのかは、展開まかせの体力次第。
コレに伴って、ライブドアでエッセイ中心の「ブルーハーツblog」も開設。しなきゃ。

今どきのスピード感についていけるんだろうか、と一抹の不安もありますが、
ま、ひとまずやってみようかと。逃げ腰はやめて。

なんだかなあ。
きーっとなってがりがりやって頭びりびり、みたいには、もうなれない気がする。
はぁーっとなってぼーっとしてぐずぐずなばっかりで。
一年に十四本も芝居やって、台本も書いて演出もして、ってやってた頃のような、ああいうテンションって、一体どこから湧いてきていたんだろう。今思うと奇跡のようだ。
あの頃には、世の中の働く人たちすべてが暇そうに見えた。
今は、近所の、一日中店の前に立ってるだけの灯油店のおじさんすら、忙しそうに見える。
大人らしく、しゃんとしたいよ、あたしゃ。


ピュアフル・アンソロジー第3弾「Kiss.」(ピュアフル文庫/ジャイブ)
どうやら、明日刊行。
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  1. 2006/11/09(木) 16:35:02|
  2. 雑感
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