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仕事部屋

7/10にジャイブから「ピュアフルアンソロジー もうひとつの夏休み。」が配本される予定です。既刊の「片想い。」収録作品との連作になっています。併せてお読み戴けたら嬉しいです。


そういえば。
土曜に、食材の買い出しに行きたくて、学校もバイトも休みだった娘をわざわざ渋谷まで呼び出した。
娘は試験中にも拘らず快く「いいよー」と来てくれたのだが。
彼女んちは町田の方なので、渋谷までは早くても四十分くらいかかっている。
なのに、あたしは、約束の時間に「入り口にいるよー」と娘がくれたメールで、目覚めた。
慌てて電話し、すぐにも身支度して向かったが、遅れること40分。
娘は、約束の場所から微動だにせず、どっかの店に入ることも、他の場所で時間を潰すこともなく、待っていてくれた。

「ごめんね」とあたし。「いいよー」と娘。文句一つ言わない。
お詫びにジュースを奢って、買い出しの間のみどり当番をしてもらい、買い出し後には近くでお茶などもしたのだが、なんて寛容で安上がりな娘なのか。
あたしなら「呼びつけといて遅れるなんて」とたちまちに機嫌を悪くして相手がどれほど謝ろうが猛抗議しただろう。
そう言ったら、「だってジュースおごってもらったしー」と言う。
もちろん、帰り際には「お休みのときにわざわざ来てくれたのに待たせてしまってごめんね。どうもありがとう。とても助かったよ」と言って、心から感謝して別れたのだけど。

うちの娘、いい奴過ぎやしないか。
いいや、いい奴だなあって話なんだけども。
世の中に出たら、きっとあれこれ損するんだろうな。
今だって、そうとは気づかずに都合よく利用されてたりするんだろうな。
まっとうさにつけ込まれて、悲しくなったりもするんだろうな。

などと思い、まっとうに育て上げた分、娘にいらぬ苦労を背負わせていることも感じて、ちょっと複雑な気持ちだった。

親心なんてのは、子供が出来上がってきてから初めて、自分と並んだ目線になって、得るものなんですねえ。
これまで、娘のことをそんなふうに思ったことがなかったあたしがズレてるのかもしれないけど、自分の内側にある複雑な気持ちに「はっ、これはもしや親心!」と気づいたりもしたわけで、なかなか面白かった。

娘は、髪を切って、コンタクトにして、あたしのお下がりじゃない自分の小遣いで買った服を着てた。新しい眼鏡も見せてもらった。大学のこともあれこれ話したし、学校でできた新しい友だちの話も聞いた。
ああ、なんだかあたしにとっていつの間にか大切な友だちになっているなあと思った。

うちの娘はほんとにいい奴なんだよ。


  1. 2008/07/07(月) 01:14:05|
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