FC2ブログ
仕事部屋

松永ベイベーのこと。

初日を明日に控えた今日から、私は松永玲子を松永ベイベーと呼び始めた。
何故だかわからないけれど、気付いたらそう呼んでいたのだ。

ケラさんからは「意地っ張りの甘ったれですがどうぞよろしく」と言ってもらった。
ナイロンで大切に育てられた、脱げる技巧派。
つまり、松永ベイベーは巧い。
巧い故にどこでどう使っても安心して任せられる。
便利。

だって奴は女優じゃなくて役者だもん。
職人気質のストイックさがそう感じさせる。
おっとりな性質と、サバサバな負けん気で、きっともの凄く努力して、辿り着いたのだ。

便利屋は「なんでもやる」から便利なわけじゃない。
「なんでもできる」人しかそうはなれない。
だけど、松永ベイベーの便利さは、そういうところのそれじゃなくて、
職人気質の生真面目さから生じるそれなんだと思う。

ナイロンの旅公演が終わらぬうちに稽古入りしてしまったので、代役の相談をしたら、ナイロンの10年選手である皆戸麻衣ちゃんを紹介してくれた。
「私にできることは一通りなんでもできる。むしろ私がいらなくなるくらいの女優です」とベイベーが言うから、後輩思いの人だなあと思ったら、まったくその通りだった。

もしベイベーに旅先で何か事故があって出られなくなっても皆戸さんいるからいいや、くらいの気にさせてくれた。
引き継ぎも見事で、旅の合間に帰京してはちらっと稽古場に顔を出すのに「だいじょぶなのか」と皆が危ぶんでいたはずなのだが、まるきりずっと一緒にやってるていで稽古してたので、誰も松永玲子の不在を感じなかったほどだ。

とはいえ、ナイロンの芝居を終えて本格参加してからの松永ベイベーは圧倒的で、松永ベイベーとして役を飲み込み、吐き出して、また飲み込むくらいのことをやってみせた。
こちらは面白がってあれやれこれやれと注文するばかりで、演出らしい演出など何もしていないのだけど、結果、一番ホンから立ち上がった役になっていると思う。

そうだ、ゲネを観て、ベイベーと呼びたくなったんだった。
可愛いんだよなあ、松永。


コルセット、本日初日。


  1. 2012/07/04(水) 02:26:06|
  2. 雑感
  3. | trackback:0
  4. | comment:2