FC2ブログ
仕事部屋

花冷えに燃えた。

今年はバカを言う余裕がないまま4月を迎えてしまった、アイドリング状態から多分今2速くらい、教習所では2速のまんまクランク通り抜けると叱られるんじゃなかったっけ、体調が悪いという自覚がない忙しなさだけど今月は検査がある、ビビる気持ちがあるってことはどっか良くない加減をひっそり自覚してるってことだろうが新しい課題がわんさかあるからしんどくない。

人生が動く時ってのは自分で動かすんじゃなくて人に動かされるんだよねえってボスと話した山手線、だって自分でなんとか動かそうとしたって大して動かせやしない、それは見つけられるものが自分が向いている先の視野に見えるものしかないからだし、人が横からどーんと突き飛ばしてくれた方が見えてなかったことが見えたりするってことだと思う。

満員電車に乗り込んでるみたいに自分の身じろぎがじりじりっと周囲の人を足踏みさせて、どっかで誰かが転んだりするのも知っている、街の雑踏ですれ違った人のくしゃみで風邪菌をうつされることがあるのも、自分が椅子から立つときに何気なく手を置いた肩の人がその温もりを忘れずにいてくれたりすることも、動いてるなあと感じてるときに自分がじっとしているのはなんだか心細い、でもそうやって用心深く周囲を見渡しながら流されずに立つ時間も必要だと学習した。

そうやってじっと身を竦めてたのがこないだの金曜日、「花冷えに燃える」なんて洒落にならない。

雑務が夕方早くに終って、土日の現場は天気も荒れそうで予定が見えないのもあって休みを貰っていたので久々に頭と身体を休めようと決めて、簡単な夕食を済ませて早々と寝室に引き上げベッドで映画を観ながらうとうと居眠りだった22時過ぎ、普段は静かな一角なのに外で「カズオ!カズオーッ!」と大声が響いたので、隣室の男性カップルの痴話喧嘩だろうとニヤニヤしながら聞き流したが、カズオの連呼は一向に止まず激しくなっていく、まさか刃傷沙汰じゃなかろうかと好奇心でベランダに出たらうちのすぐ下からばちばち音を立てて燃え盛る炎が立ち昇っていてようやく「カズオ!」が「火事だ!」であることを認識、まずは台所に行って出しっ放しだった食べかけのサラダを冷蔵庫にしまい、犬をスリングに入れてmacとタバコとiPhoneを持ってサンダル履きで部屋を出ると、アパートの住人たちがわやわやと避難している、「カズオ!」と叫んでいた人はL字型になっているアパートの1Fと2Fを駆けずり回って皆に声をかけてくれていたらしい、消防署には通報したと誰かが言ったので私は大家の携帯に電話して「1Fから火が出てます、皆避難してます、消防署には通報したようです」と告げ、5分もすると近所の消火栓から長いホースが几帳面に敷かれての消火活動が始った、火の怖さより穴の空いた消火ホースから上がる噴水のような盛大な水しぶきの冷たさに震えながら消防士の働きを見守り、挨拶程度にしか話したことのないアパートの人たちや、集まってきた近所の人たちと断片の情報交換で得たのは、火元は風呂場の漏電らしいということと、火元の部屋の住人は車椅子生活で自立歩行のできない独り暮らしのお年寄りであるらしいことと、そのお年寄りと、火元の真上の部屋の住人は不在であったらしいということ、火元の部屋と私の部屋はL字型の角を挟んだ1Fと2Fで、燃えている風呂場の斜め上がうちのベランダなわけだから、火災保険がちょうど切れてたんじゃなかったっけとか考えて、ひたすら延焼のないことを祈っていた、15分もした頃には鎮火していたと思う、ニュースで言うなら小火という程度なのだろうが、それでも火元の部屋の煤け方は気の毒で痛ましく、アパート住人誰も怪我なく無事なことが幸い、煙害も水害もなく、消防隊がうちのベランダのプランターにたっぷり水まきしてくれたので3日は水やらんでいいだろうと思いながら眠ったが、翌朝になってベランダから火元の風呂場を見下ろして、ぞぞっと鳥肌が立った。


「カズオ!」でベランダに出た瞬間に、炎。
「カズオ!」でベランダに出た瞬間に炎。

渦に巻かれるように非日常の出来事が起こり下手したら自分も飲まれると、つまりそれほど大きな渦が起きている最中なんだと、そんなふうに思った。

土曜はぐうたらと過ごし、日曜の夜にちらっと外出してしっかり宿題をもらってきた。

まだまだ落ち着くのは先だけど、向かうところがあるのは、いい。


今週末の日曜から新設ワークショップ、今期は各回単発での参加を募集しています。
演技と演出のブラッシュアップを目的としたワークショップです。
詳細・お申込みは actor's JKD workshop 公式ブログで。

来週末は「愛のゆくえ(仮)」連続上映vol.2@ポレポレ坐、vol.1「へばの」とのカップリング上映は満席にて終了しました。今月は大注目の山戸結希監督作品「あの娘が海辺で踊ってる(完全版)」との2本立て、上映後には山戸監督と木村文洋監督・高橋和博プロデューサーの3世代トークがあります。
お席に限りがありますので、どうぞお早めにご予約ください。
詳細・ご予約は 映画「愛のゆくえ(仮)」公式ブログ


皆さまもどうか火の元にお気をつけて。



  1. 2013/04/08(月) 02:56:58|
  2. 雑感
  3. | trackback:0
  4. | comment:0