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仕事部屋

うつろう。

夏はもうおしまいなのか、また暑さが戻ってくるというけれど、一度この心地良さに慣れたらあの暑さは憎らしく思うだろう、秋というのは気配だけを敏感に受け取って堪能の実感がない、いつまでも夏はどこへ行ったと気がかりにしながら択ぶ上着の生地を厚くして、あらそういえばと思えばとうに冬だったりする、だからこそ、秋には記憶が欲しくなる、それは記録でもよく、ただ思い出せる目印があれば控えめな季節をきっと味わえる。

この夏は職場の納涼会で屋形船に乗った、乗ったはいいが降りた記憶がない、舟を降りてタクシーに乗せられてタクシーも降りたはずなのだが気づけば行儀よく寝間着で布団の中にいた、などと報告したものだから職場の人たちには警戒されるようになった、それでも予てから約束していた通り、職場の20代男子ふたりと仕事帰りに飲みに行き、彼らの性癖などを愉しく聞いた、来月からボスが代わる、去って行く人もいるだろう。

この夏は新しい友人が増えた、ふいっといなくなって戻って来た人とかいくつもの縁が束になって親しむ人とか挨拶しかしなかったのを勿体なく感じる人とか、新しい友人と新しいことを始めるのもいいものだけれど、新しさなど気にならないような過ごし方をする方が自然なのだろう、出会いがあると日々の依怙地が解れる、何が大切なのかわからなくなるくらい大切なものに囲まれているのは幸せなことだ。

何年も前に龍さんから「ひとの芝居を観に行け、アルバイトをしろ、保険に入れ」と約束したことをこの夏にようやく全部果たした、一番難しかったのは保険なのだが吟味するうち入院してしまったので今のうちと思って勢いよく2つも契約した、死ねば借金が返せる算段だから安心して生きられる、思うに「生きなければならない」と絶対的な選択肢だけを持つから生きるのが辛くなるんじゃないか、死んでもいいけどどちらかというと生きたい。


「(仮)の事情」公演日程が決まりました。日付が近いから今年と勘違いする人もいるけれど、2015年の9月です。

仮チラシ


来年の秋は記録も記憶も残せる。

  1. 2014/08/31(日) 14:22:34|
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