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仕事部屋

へばの。

稽古したり飲んだり稽古したり働いたりしているうちに稽古回数は残り11回と聞いてびびった、まだ自分の場面は1回しか稽古していない、代役もツダマキちゃんからナツコに交代してがつがつダメ出しを入れていて、うっかりするとそのままツダマキとナツコのWキャストでの演出を考えていたりするし、睦雄さんや龍さんへの演出も自分が相手役であるということをすっかり忘れたままつけてしまっている。

いや、もちろん、私が出るのだが。

そんなこんなでどたばたと過ごすうち、住んでる部屋の更新通知が届き、ほぼ帆太郎の部屋と化している狭いワンルームに諸費用合わせて10万以上の更新料を払うことを考えた途端むらむらと引越したくなり、そんな時間もお金もすぐに都合つくわけじゃないのに、3軒の不動産屋と連絡を取り合ってメボしい物件の内見に出かけたりもしている。

渋谷なら南平台、恵比寿なら広尾寄り、「いいところ」と言われる住み慣れた界隈は、確かに「お値段のいいところ」でもあるのだが、それよりも私には故郷で、特に今のところは越して来てから父の生家が同じ町内であったと知らされて縁を感じているのもあり、ヒキタクニオに引越魔と呼ばれる私が珍しく1度は更新したのだけど、いかんせん手狭で、かれこれ2年ほど荷物部屋として借り続けている近くのアパートとの家賃を合わせれば、それなりのところに移れるはずと考え直したものの、この界隈で犬と暮らせて荷物が収まる物件は私の生活水準に見合うものが見つけられず、3日くらいぐずぐず悩んで、とうとう恵比寿からも渋谷区からも離れる決意をした。

メリエスでお世話になっていた高田純氏が亡くなって、「お墓と離婚」で主演されたスーちゃんが亡くなって、小劇場時代にさんざっぱら面倒をかけたぴあがなくなって、私が馴染んだ時代が着々と消えていく。
親もなく家もなく幼少期の記憶が染みた場所もなく何が故郷だとも思う。

マンションには知人が住んでいるし、隣りの部屋のカメラマンのお兄さんともよく話すし、すぐ近所には家族のような友人がいるし、通い慣れた店があるし、雰囲気が好きだし、お隣の家のおじいさんや裏の家のおばあさんとも仲良しだし、便利だし、お家賃据え置きで専有面積が倍増してくれたら住み続けたいのだけど、本当に狭くて、もはやここは私のうちではなく帆太郎のうちで、私は犬小屋に居候しているような気がしているものだから、これはやはり人としての尊厳を保つためにも、思い切って、より暮らし易い町へと越すべきかと。

住めばどこにでも馴染む自信があるのだけど、活動時間が決まっているわけでも勤務先があるわけでもないから、どこでもいいやと思うとどこに絞ればいいのかわからない、といって本当にどこでもいいわけではなく、新宿からタクシーで無理なく帰れるところ、阿佐ヶ谷からでろでろに酔っぱらって始発に乗っても無事に辿り着けるところ、人に会いに出かけるのが億劫にならないところ、などなど考えると、結局は町の真ん中を選んでしまうし、そもそも喧噪がないと落ち着かない町育ちだから、「!」とチェックすると恵比寿ほどではないにしてもそこそこの家賃がかかる物件だったりして、そうなると、広さを諦めて家賃を下げたいという気持ちも出て来るし、部屋探しはまったく方向性が絞られないまま、今日はぶらり近所で一件、明日は朝から不動産屋をハシゴして5件も見に行くことにしてしまった。

どうしてだか好きな電車とあんまり好きじゃない電車がある。
何が好きで何が嫌いなのかは自分でもわからないけれど、日比谷線と副都心線と有楽町線と大江戸線と東西線と山手線と中央線は好き。井の頭線と東横線と総武線と田園都市線と銀座線と丸ノ内線と京王線は嫌い。
他の電車はよく知らない。ま、基本、好きな電車はモノレール。ゆりかもめも大好きだ。
で、よい物件があっても、その電車に毎日乗るということを想像して、「無理」と思えばやめる。
乗って「嬉しい」と思える沿線で、様々な状況での利用を想定して、3つ以上「イケル」と思えば候補に入れる。

物件も、そんなふうに「無理」があればやめるし、「嬉しい」が3つ以上あるものを内見する。
思えば、買い物するときもそうで、洋服などは3通り以上の組み合わせを思いつかなければ買わない。
映画も、3つ以上、好きなところがあれば、好き。

原発に注目が集まる中、出遅れてる感のあった「へばの」が、ようやく東京での上映を決めた。



時間をかけただけあって、1日限りの上映なれど、座談会ありやら、英語字幕付きやら。
桑原プロデューサーは「今回の『へばの』上映、朝は座敷席で座談会あり、夜は普通の映画館、そして各上映と同時にUSTREAMで配信と、見る方にそれぞれ選んでもらえればと思っています。また、国内では初めての英語字幕版。ご存知の方もそうでない方も含め、より多くの人に『へばの』に出会ってもらえたら嬉しいです。」とtweetしていた。

===
英語字幕版上映+USTREAM 同時配信 
木村文洋監督作品 へばの
2011年5月15日(日)モーニング&レイトショー上映

◎モーニングショー
【開場】 10時30分 【開映】 11時00分~ 【座談会】 12時45分~
【会場】 光塾 COMMON CONTACT 並木町(東京都渋谷区渋谷3-27-15 光和ビルB1)
※上映終了後に休憩をはさみ、その場で、参加を希望される方々と、監督・スタッフにより座談会を一時間程度行いたいと思います。参加は無料です。

◎レイトショー
【開場】 20時50分 【開映】 21時10分~
【会場】 オーディトリウム渋谷(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)
【各回入場料】 予約:1,000円 / 当日:1,200円
【ご予約・お問い合わせ】 E-mail:teamjudas@ss.lomo.jp
※各回共、映画上映と同時にUSTREAM 配信を行います。 www.ustream.tv/channel/hebano-goodbye
※経費を差し引いた収益の全額を被災地の義援金として寄付、もしくは物資を購入して届ける予定です。
送付先、届け先に関しましては現在検討中、終了後に会計収支とともにをHP上で告知します。
===

このあと、「へばの」は旅に出るらしい。ゆっくりと動くあたり、監督の資質に見合ってる感じ。
鎮西さんに「へばの、どこが好きなんだ」と訊かれたとき「キャスティング」としか答えられなかったけど、ちゃんと3つ以上好きなところがある。大事だから言わない。

もちろん「台所純情」も、着々仕上げています。自分以外。
こないだはよっちゃんが稽古場で還暦のお誕生日を迎えたので、皆から巣鴨の赤パンツを贈呈。
ふんぞりかえった小娘からボケ老人だの脳軟化症だのアルツハイマーだのとダメ出しで罵倒されても「はい、わかりました」と言える60歳、愛されてんなあ。
しかし今回は、なんせ、睦雄さんが大変によろしい。
私なんかで無事にお相手が務まるかしら、普段殆ど話さないのに。

龍昇企画公演「台所純情5/13~19 @スペース早稲田でお待ちしております。
睦雄ファンは5/15に台所純情のマチネを観て、夜は「へばの」で「睦雄づくし」をお楽しみください。

そういや小説教室も次期講座の受付が始まっています。
WSもそうだけど、小説教室だって、年単位で黙々通う人はちゃんと「書ける」に辿り着くもんだなあと、ここにきて感心しきり。

大人になってからじゃないと身につかないことだって、ある。
大人になってから辿り着く故郷だって、あるよね、きっと。

間もなく初日が開いて、ばたばた千秋楽を迎えて、週末のWSと週明けの新規講座をやったら、「じゃあね」と故郷を出る。
映画「へばの」の英題は「Good Bye」です。

  1. 2011/04/24(日) 04:58:50|
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