仕事部屋

若きロッテちゃんの悩み。

青春Hのセカンドシーズン【青春H2】が始まっている。

第一作は白石晃士監督作品「超・悪人」、冒頭のしじみの存在感がすでに怖いのだけど、そこが怖過ぎちゃってその先の凄みがかき消されてしまった感じ、宇野祥平は魅力的だけどベルギー映画「ありふれた事件」のブノワにはなれず、白石さんとはお会いしたことないのだけれど、モグラ町は余りお好みではなかったようなので、単に好みの違いなのかもしれないですが、「超・悪人」が「悪人じゃない」のは悪を「超」えてそこに行く流れと思ったのに、最初から悪人じゃない辺り、草食系。

二作目は我らがいまおかしんじ監督作品「若きロッテちゃんの悩み」が6/4~6/17 @ポレポレ東中野でレイトショー21:10の公開。

これは傑作だったなあ。泣いたなあ。ほろほろ泣いた。
どこでキタとかじゃなくて、なんかもう女の子の若さとか男の若くなさとか女の子の彼氏のクズさとかその彼氏が連れ込む女の不貞腐れ具合とか、泣くしかないようなシチュエーションがぴっちり埋め込まれていて、時間の経過と共にほろり涙した。女の子が部屋に帰ったシーンは「牝」だわね。

観ながら、今岡さんはもう若くないんだなあ、なんてことをふと思った。
出だしは「老いて尚童貞心を忘れない男」とキャッチフレーズをつけそうになるくらいのトーンだったけど、進むうち、あ、これは老いだな、成熟だな、と感じた。

振り返ればすぐそこに青春があるような世代には、こういう映画って撮れないんじゃないだろうか。
なんだろう、距離感かな、青春の日々との。
車窓に切り取られる海辺の景色の違和感、やむを得ずなのだろうけど、あんなところもぐっと詰まる。

継ぎ接いだ記憶に時間を流し込むことが、我が身の切り売りってもんだよなあと。
経験や記憶をそのまんま組み立てて映画にしたってどこも痛まないよなあ。
継ぎ接いで、すり替えて、しれっと他人のふりをする距離感に、アイタタタタ…って思うもんなんじゃないのかなあ。

少なくとも、私はそうだ。
小説でも芝居でも、最後の最後には我が身から絞り取ったものなんて、一針分くらいしか残らないけど、経験や記憶や感情を「切り取る」「継ぎ接ぐ」=物語に「すり替える」って作業を夢中でこなして、別のものになったと思った瞬間が、いっとう痛む。

その昔に観たいまおか作品にはまだ今岡さんの触感みたいなものが残っていて、生々しく感じたように記憶している。
吉岡が出ていたからそう感じたのかもしれない。
でも、今岡さんは自分の身代わりにできるようないい具合の俳優を見つけたんだなと思った。

いい映画をたくさん撮っている人だから、もっと名高い傑作もあるのかもしれないけれど、私が観た数本の中ではこれが一番好き。
青春て、まっただ中でなくてもいいんじゃんね。
キラキラしてなくても、甘酸っぱくなくてもいいんじゃんね。
がびがびのぐずぐずのぼそぼそのそれだって、それが青春なんかじゃなくたって、「失われゆくもの」が見える距離に立てれば、そこに見える景色は「青春」なんじゃんね。

いい映画だったな。
実は、私の新居はポレポレ東中野にかなり近い。
これまではユーロスペースやアップリンクに近かったのだけど、どうしたことか今度はポレポレに近い。
今岡さん、深夜にしか戻れないけど、飲むとき電話ください。
映画、褒めてあげるから。






本日6/3(金)、【母娘監禁・牝】@渋谷シネマヴェーラ最終日!
上映時間は 12:25/15:15/18:05/20:55 です。

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いまおかしんじがこの映画を観てわざわざ水戸のテレクラに行ったという傑作青春映画!


明日6/4 10:00~、鵺的【昆虫系~改訂版】チケットのお取り扱いを開始します。
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昆虫系本チラシ表面

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  1. 2011/06/03(金) 04:40:54|
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