仕事部屋

犬師、曰く。

日々の節目に交わす女友達との会話。
打ち合わせの隙間に覗ける担当氏の笑顔。
メールで不意に囁かれる甘い気持ち。
朝早くから届けられる真摯を綴った手紙。
インターネットの隅っこで語られている誰かのささやかなシアワセ。

(小形くんが拾ってきた)ヤカン、(中古で買った)冷蔵庫、(龍さんが買ってくれた)洗濯機、(使い勝手のいい)箒、(使い勝手のいい)ハサミ、(苦くない)胃薬、(大事なことを書くときの)ボールぺんてる、(絶対に手放したくない)真鍮のライター、(犬が定着している)古い椅子。

目覚めてから眠るまでが、そうした欠片で繋ぎ止められているんだなあと、しみじみに思ったり。

朝流れるラジオの音楽の中にも、深夜に見入る映画の風景の中にも、忙しなく読みさす本の物語の中にも、開け放した窓から忍び込む見知らぬ人の日常にも、記憶にも空想にも、滲む色。

与えようと引き出すものでなく、与えられたいと望むものでもなく、ただそこにあるだけの。

そう過ごしていたいと、ずっと思っている。
そういう人でありたいし、そういう時間を重ねたい。
なかなかに難しいけれど。

犬は容易くそれをこなすので、とうとう、教えを乞うた。
賢い犬になるために。

逃げない。追いかけない。壊さない。奪わない。確かめない。探らない。疑わない。試さない。
怖がらない。誤摩化さない。待たない。怠けない。急かさない。匂わせない。忘れさせない。
…そうできれば、たまには吠えても、いい、と、思う。

師はそのように語る。



よっしゃ、わんわん言うたるどー。



  1. 2011/08/24(水) 04:11:26|
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<<バカは働け。

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