仕事部屋

そのときに、ここにいるかはわからない。

その人は、空の月を見上げて「遠いなあ」と言い、
私は、掌に掬い上げた水面に映る月を見て「遠いねえ」と言い、
それぞれの月を鏡にして、互いのこころが映るのをひたすらに待っている。

今のそれは穏やかで心地よい時間だけれど、たった一つ願うことは、掌の水面で静かな澱になって沈んでいく。

きっといつか私は、自分の空を見上げて掌の月を零してしまう。
そのときのその人は、飛沫に濡れても私の手を掴むだろうか。
私を引き寄せて同じ月を見上げさせるだろうか。

今はまだここにいる。
毎日それを確かめる。
私はまだここにいると、毎日そっと確かめて、眠りにつく。
小説じゃあるまいし、月は誰の空にも一つしかないと知っているから、
今はまだ、月なんか見上げない。

いつがそのときかわからない。
一瞬を掴み損ねたその人が永らく悔やんだりすることに、ちょっと同情したりする。
季節外れの草履履きじゃあ空を見上げるにも踏ん張れなかろうに。


IMG_0996.jpg ちくしょう、なんだか日々書き方がいやらしくなってくなあ。

  1. 2011/09/23(金) 03:45:56|
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