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仕事部屋

秋に落ちる。

秋の季節はいつもいつもぴしゃりと冬がやってきたときに、あれ秋が終わってると気づくのだけど、今年は台風のお陰で、あ、秋だ、と気がついたんだなあ。

秋風はあれもこれもはぐらかす。
照れてんだろうとわかるけど、真夏の陽射しが黒々と影を焼き付けてみせるのとは違って、ただ飄々と変わり目を曖昧にはぐらかして、そのときにしかない美味しいものや美しい景色や束の間のココロザシを覗かせる。

長い人生の中に四季があるのだとしたら、きっと今は秋の始まりで、
春の穏やかな優しさや、夏の我が侭な情熱や、冬の突き刺さる痛みは、なんだか居心地が悪い。
この先迎えるだろう真冬の厳しさに備えて日々を重ねる、少しだけ身体が軽くなって、深々安堵できるような、実りの季節。

秋風は、照りつけたり吹きさらしたりせずに伝えようとする健気さが収穫をもたらすのか、うっかり気づいてもらえなかったときの寂しさを孕みながら、また恐る恐るにトンボを飛ばしてみたりする。

寂しさにさめざめ泣いてる女のようにも見えるけど、はぐらかす狡さと隠せない浪漫主義を不意に舞散らす、「男」の季節だと思う。
あんな密やかな気配のどこに葉を真っ赤に色づかせるような力強さがあるのか、そこらへんが助平で「男」っぽい。

現実主義の生身の女としては、どっぷり身を浸すわけにもいかず、へえ、なんて面白がりながらの鑑賞を決め込む。
だって季節は移ろうからね。

夕暮れ前に陽射しがちょっとだけ強くなるときの青空で「そ」の字に紫煙くゆらせて、ついっと横切るトンボを眺めたりしたいのだけど。
  1. 2011/09/25(日) 08:10:31|
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<<指切りできない。

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