たとえばtwitterだったりFacebookだったりブログ記事だったりに言葉を見栄え良く並べて置くことで頭の整理をつける、持ち歩くノートに浮かぶたび書き付けたことを拾い集めて並べ替えるだけのものだけど、理路に頼り勝ちな頭の持ち主はそうすることで気持ちの混乱や感情の渦巻きを平坦に均して日常をやっていく習慣がついている、「人の目に触れさせる」という一点を選択基準にしているからノートに残っているのは「人の目に触れさせたくない」残骸で、誰かに対しての、どこかに向けてのそればかり、整理がつかないままそれらは日々増殖し続ける黴のようなものに変質し、朝目覚めてふと息苦しく自分がうっすら蝕まれていることに気づく、深呼吸してめまい、横たわればずぶずぶと底なしに沈み込んでしまいそうな重たさ、甘いもの食べてみたり犬と散歩してみたり胃薬を飲んでみたりするのだけど、もうそこにある言葉は、文字ではいられないくらいに息づき蠢き始めていてまさしくモジモジと這い回る始末、言葉は本来きっちりと誰かのこころに芽吹いて根や枝葉を拡げてゆくイキモノなのだから、行き場のない言葉など言葉の形に並べられた言葉の種でしかない、ほんの少しの水と光で芽吹くはずの種も時間をおけば息絶えて干涸びる、私はあなたと話がしたい、筋道のある事柄は文字を並べて送りつければ良いけれど、記号に過ぎない意味や筋道などではなく、そこで通じたり伝わったりしている形のない何かでもなく、時間を共有するその場所であなたと言葉を交わしたい、愉しむためではなく生きるためのこととして、私はあなたと話がしたい。
朝日カルチャーセンター主催
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- 2011/10/12(水) 16:36:48|
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