仕事部屋

偽装する。

泣きつきたいとき、泣きつきたい人がしんどそうだと泣きつけない、そもそも泣きつくのが下手だから、「どうしたの?」と訊かれても何も言えないから、そばにいてくれるその時にしか泣けないから、しんどさを先に開いてくれるその人のそれを、つい受け止めようとしてしまう、受け止められやしないのに、せめてと両手を出してしまうのだ、役に立つことなど何もない、何もしてあげられないと承知でも、しんどさを知っていてあげたいから、それはつまり自分のしんどさを知っていて欲しいと望んでいるからそう思うのだろうけど、それを言葉にするのは難しい、言葉にせずにいることで察させてしまうから、ちゃんと言葉にしなければいけないのだけど、メールだの手紙だの電話だので言えるほど気楽なことじゃなくて、その人がそこにいて私を抱きしめてくれるときに、そっと泣いてみるのが精一杯だから、そうできないときにはただ一人で泣いている、呼べば来てくれる人もいるだろうけど、そういう人の前では泣けないから、やっぱり一人で泣いている、しかしどうにも残念なことに、泣けば楽になるはずなのに一人で泣くと少しも楽にはなれなくて、泣きつきたい気持ちを繰り越しながら日々をやり過ごすことになる、だからその人に会うときにはまた笑っているだろう、そしてその人はまた察するに違いない、泣きつかせられない自分に気づいて余計なことを背負っていつかまたしんどくなる、だからまずは泣かずに、泣くのを堪えるんでも一人で泣くんでもなく、泣かずにいられる強さが必要だ、誰かのしんどさをしっかり抱きしめてあげられるように両手を空けておかなくちゃならない、つまんない哀しみを勿体ぶって握りしめていちゃだめだ、自分で自分を抱きしめていちゃだめだ、自分の手はいつだって人に触れるために空けておかなくちゃだめだ、いつだって俯いているその人がついと顔を上げたときに、「ここにいるよ」ってひらひら手を振ってあげるんだから。



  1. 2012/04/25(水) 01:21:32|
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<<防腐剤は使っていません。

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