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仕事部屋

労働讃歌。

ど年末に酷い風邪を引いてしまったが黙々出勤している。
6月から半年間、赤坂のセレブ邸にて週3日の宿泊ベビーシッターをやっていたのだけど、契約切れにてバイト替え、今度の職場ではコンゴ人に英語チャンポンな日本語で仕事を教わっている。
職場は大変に愉快で、条件も居心地も良い。
ベビーシッターも愉しい経験だったけれど、今度の職場は「基本、自己判断」という方針らしく、覚えることもたくさんあるし数字の計算もしなきゃいけないしきっとそのうちに色々大変なこともあろうが、今のところ馴染んでいる。

コーチングの現場では昨日が仕事納め、現場のトッパライでようように正月の餅を買うような暮らしぶりだけど、この一年でようやく「働く」という意識が根付いたように思う。
書く事にも創る事にもお仕事意識があって労働の認識がなかったと、最近になってわかった。
意欲だの責任感だのじゃなく、目的の違いというのか。
芝居だのなんだのやってるよりバイトしてる方が愉しいと思ったりもする。

その愉しさは恐らく報酬を得るという結果から生まれるもので、40年前に初めてギャラを貰った役者業や新人賞の賞金(を前借りした)から始った売文業で受け取る報酬と比べればささやかなものだけれど、不思議と悦びはこちらの方が大きい。
なんつうのか、芝居だの小説だのは、身を削ってその埋め合わせに受け取る報酬というような感じがあって、削る身がなければ何もできないには違いないのだけど、私などが受け取るそれだとどうも「とんとん」という気がしてしまう。

その点、アルバイトは身を削らない。多少の気を遣ったり時間を割いたり労力を費やしたことへの報酬は、なんだか「丸儲け」な気がする。
現場ではどれだけの準備をしようが当日の待機をしようが実働時間での報酬なので要領を掴むまでは効率が悪くてこれならコンビニでバイトしてた方が稼ぎになるなあなどと思ったほど、要領を覚えるまでの時間にも時給が支払われるなんてまったく素晴らしい。
今はまだ研修期間なので時給は20円引きだけれど、深夜手当だ精勤手当だと聞くとウハウハしてくる。

まあなあ、どんだけ骨身を削っても一銭にもならないような持ち出し仕事ばっかりしてるからそう感じるんだろうし、今さらこの年になって労働って素晴らしいとか言うのも恥ずかしいんだけれども。
今は職場に他の女性がいないので、制服も「好きなの注文して」とカタログからじっくり択ばせてもらい、できる仕事が少ないからだけど年齢も一番上だし4時間平均で有給の仮眠が取れるなんて、まったく素敵な職場だと思う。

そうやって人に話すと、「それ絶対そのうちなんかある」と脅される。
なんかあるだろうか。
多分なんかあるだろうな、と思う。
でも、なんかあるのがいつものことだから、多分なんかあってもなんともない、とも思う。

人生における最大の課題であった経済的な自立の一歩としては充分過ぎるはずで、あちこちへの借金もそのままでバイトしてるくらいで安定した気にはなれないが、「働ける自分」を見出したことが、今年最大の収穫には違いない。

因みに、ベビーシッターの仕事が決まるまであちこちの面接に落ちまくっていたとき、「演劇やってるなんて面接で言ったら雇ってもらえないよ」と役者連中からアドバイスを貰って、今のところは従っている。
「打ち明けるのは半年かそれ以上続いてからね」とも重々言われていて、職場の上司が、こないだまでダンスをやってる人が働いていて自分の教室を開くことになって退職したと話していたので、演劇やってるけどバイトは辞めませんと言えば喜んでもらえるのか、それとも演劇やってるなんて言ったら辞めざるを得ないことになるのかわからないけれど、まだ言えない。

言えないことがある不自由さも、世の中に折り合う術を身につけつつ在ると思えば、面白い。
できないと思っていたそういうことができるようになったのは、年齢なのか、状況における必然なのか、なけなしの知恵なのか。
芝居なんかやらなくても生きていける自分を目指して早20年、そもそも来年は初舞台から40年、芝居なんかやらなくてもやっていける人生も、経済的に自立した人生も、まだまだ遠い道のりだけど、最近はこれまでのジャングル探検じゃなくてちゃんと道らしきところを歩き始めたようでもある。

まったく日々は面白い。
皆さんどうもありがとう。
穏やかな新年を迎えましょう。


  1. 2013/12/31(火) 23:37:39|
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