仕事部屋

何が起きたのかというと。

一昨年の入院で、身体の中に「なくていいもの」が見つかって、そいつをどうするかってことがずっと問題だったのだが、まあ「なくていいもの」だからとっちまえばいいと医者は言う、しかしせっかく五体満足に産んでもらって好き勝手に生きた挙句に「なくていいもの」だからとって捨てちまいますという気分にはなれないもので、仕事が休めないだの芝居の予定があるだの金の都合がつかないだのとグズグズ言い訳をして放置していた、それが、無論それらの言い訳はどれ一つ嘘じゃないのだけれども、何も今日この日でなくたってというタイミングで不具合を起こしたもので、渋々ながらに取って捨てちまった次第。

その日はいつも通りに夜勤で働いていた、バイトが終わって一旦帰宅したら7月公演のチラシの写真撮影をすべく衣装を持って出発、制作やメイクのスタッフとスタジオ近くの駅で待ち合わせている。

9日から10日に日が変わっての明け方退勤2時間前、どうにも我慢のできない腹痛でこりゃ気を失うと分かったので仮眠中の社員さんを叩き起こして救急車を呼んでもらった、意識はあるが痛みで口もろくに利けない、そんな状態と承知で運ばれた大学病院の若い研修医たちが同じ質問を5巡6巡としてくるのはかなり効果的な拷問だと思う、救急に研修医がいたら4時間は放置されると覚悟した方がいい。

身内の方に連絡をと聞かれたのも4時間くらい経ってからだった、ところが勤務中だったもので私物である携帯は職場のロッカーにしまっている、お仕事バッグに入れていたのは財布とタバコとiPad mini、ところがこの miniはセルラーモデルじゃないから単体ではメールチェックもできない、アドレス帳で小形くんの連絡先を表示して看護師さんに連絡をしてもらったが、撮影班にまでは連絡を回せず、スタッフの皆さんを3時間ほど連絡が取れない状態で待たせてしまった。

小形くんに続き制作が病院に駆けつけてくれ、医者から緊急手術の必要があると説明され、本人の意識がなくなった場合に代わって同意するという書類などにサイン、この時点で救急搬入から10時間くらいか、小形くんにはそれからバイト先に行ってもらってロッカーから私服や私物を持ってきてもらい、犬の面倒を頼んだ。

手術の後に目覚めて制作と小形くんの顔を見たのは覚えてる、病室内でタバコに火をつけて看護師さんにねちねちと叱られたのも覚えてるから、あれが10日の夜だったのか、小形くんに家から持ってきて欲しいものリストを渡したり。

次に意識がはっきりしたのは12日だったから、丸一日うつらうつらだったんだろう、医者だか看護師だか色んな人がきて色んなことを言うのが煩いので聞き流して無愛想に振る舞う、何よりざっぱり開腹した手術跡が痛い。

小形くんに代わってユニオンの藍原くんが病院に寄ってくれ「小形さん風疹だそうです」と衝撃の報告、NHKの後輩も身の回りのものあれこれ揃えてくれ、看護師が言うことも少しずつ理解し、やっと入院しちゃったという感覚、あちこちへのお詫び連絡と入院の連絡、ユニオンの本番前1週間、仕上げの稽古に出られないことが何よりの痛手、しかもユニオンは舞台監督の小形くんまで失っている。

その時にはああこりゃもう何もできないなと諦めたのだけど、数日して回復してくるといやいやこうやればできるんじゃとまた欲が出る、それでもこれまでと同じようにはやれない、休養第一とは承知だけれどやっぱりこれくらいの病状じゃ全部丸ごと投げ出すってわけにはいかない、結局1日ごとに制作やユニオンの藍原くんに指示することが増えている。

有難いことに、TwitterやFacebookで状況を知った演劇人たちが、「1日稽古みれば本番つけるぜ」とか「俺、稽古みてやろうか」と声をかけてくれる、普段なら一緒にやりたいと思ってもギャラが払えなかったりスケジュールが押さえられなかったりするベテラン勢が代役やりに稽古場に来てくれるというのがユニオンの売りでもあったがここにきてもう何が何やら。

エンゲキ人、かっこいいでしょ。

そのカッコいいエンゲキ人はじんのひろあき氏である。
映画「櫻の園」でキネ旬やアカデミー賞の脚本賞を総ナメした日本を代表するシナリオライターの1人であるじんのさんが、エンゲキ人としてユニオンの舞台監督代行をやろうと言うんである。
因みにじんのさんとは古い知り合いだけど、個人的に連絡を取り合うような付き合いはこれまでになかった。なのに「大変なことになってんだろうなーと思って」名乗り出てくださった。

エンゲキ人、かっこいい。

ユニオン、計らずしも演出家・舞台監督の喪失というハプニングによって、本来のユニオンたる力を集めたようにも思え、そう悪くなった訳じゃないんじゃないか、などと思ったりするが、やはり演出家の不在はよろしくない、私を信じてくださいと言いながらやってきてのこのザマ、まったく申し訳が立たない。

エンゲキ人として、私がいちばんかっこ悪いことになっている。

せめて満席にしたいもんだ。
初日土曜はすでに予定数の販売が終了、若干の当日券は発券されますが、お席の保証がありません。2日目日曜の15時と19時半の回はまだ予定席数が残ってます。
会場はJR中野駅から徒歩5分ほど、ぶらりといらしてくださっても日曜なら入れるかもしれません。
ご予約はコチラ。

この孤児たちを、どうか見届けてやってください。





  1. 2014/04/15(火) 12:12:26|
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