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仕事部屋

月よりもっと遠い場所。

晦日と大晦日があるんだから大師走もありそうなもんだ、12月に入った途端、街の中がせかせかしているように感じるのは気のせいか、東京⇄名古屋で1週間で3本の芝居を観たせいか、年末年始の5連勤が決定しているせいか。

夜勤明けに高速バスで名古屋に向かい、到着してすぐにチェックインを済ませ、ばたばたとB級遊撃隊のアトリエ、観劇遠征は「土管2012」だから2年ぶりか、今回は成田くんと合流したので心強い、佃さんの新作「朝顔」は新テイストだと本人も言っていた、小説風の語りが延々と流されるが、私には佇まいの芝居だった。

その前の週に「センチメンタル・アマレット・ポジティブ」を上演したT高校演劇部の2人が声をかけてくれたので思わず丸刈り頭を撫でさせてもらった、出演してない円太夫の親友たちも来ていてやあやあと、なんだこうやって地方にも知り合いが増やせる、終演後はリクエストして味仙の美味しいもの、日帰りで帰京した成田くんと解散して独り安宿。

翌朝は土産物を買いに名古屋駅に寄ったついでにしっかりモーニング、昼食用の天むすも忘れずに購入、時間通りに帰着できるものか着いたとして体力は余るだろうかの懸念あって、新宿からぎりぎりで「今日行きます」とメールして池袋に直行、流山児事務所の「青ひげ公の城」、始まる前から蘇るあの歌あの台詞にそわそわ、悪源太さんの顔見てまたあれこれが蘇る。

流山児演出の「青ひげ」はお得意のごった煮テイストが「演劇バラエティー」の感、塩野谷・美加理が並んでいるだけで満足できるところもあるのだが、福士さんの健在ぶりや弘子の見せ場でにんまり、最後の長台詞には間違いなく泣かされると思ったが「場」がないせいかふっと醒め、終演後の楽屋で抱きしめた美加理の体の小ささにじんわり込み上げて泣きそうだった、もはや劇の夢は見ないのだ、私には生身のあなたが夢なのだ、などと。

せっかくの名古屋遠征も駆け足で景色を眺める余裕がなかったけれど、休憩で立ち寄るPAごとに「旅」を感じた、非日常という意味の旅でなく自分の身体が何某かの力によって移動するという意味での旅が、単純明解な刺激だった、日々が退屈なわけではなくむしろ日々の方が力んでいるので旅は穏やかな気持ちになる。

などなどのうちに迎えた師走の月は検査結果を聞きに病院へ、担当医に「あれ?なんで検査したんでしたっけ」と言われおろおろしながら「術後の経過として云々」と説明すると「なんの手術でしたっけ」とまで言う、患者としてはインパクトがない方がマシってことだろう、手術の疾患は完治、がん細胞も消滅と宣言されてうきうきしながらの帰路、自転車の前輪が縁石を乗り越えられず、がしゃんという勢いもなく、ゆっくりと、とてもゆっくりと転倒、今後は病気より事故に気を配るべしとの警告。

私は自分が関わった演劇の中で「月よりも、もっと遠い場所…劇場!」という美加理の台詞が一番好きだった。
だけどやっぱり月よりもっと遠い場所は、「日常!」と、思う。




  1. 2014/12/03(水) 02:13:11|
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