仕事部屋

ようやくの。

やっぱり今月はわたわたになった、指示依頼交渉発注文字情報作成確認文字校正投稿云々の果てにようやく公式サイトがリニューアルして公開。

今回の公演では制作チームを編成してユニオンを名乗ることから始まり、更に3つの新しいことに取り組んでいる。

まずはプレ・イベント【朗読『痴話』】企画、作品の題材を活かすため予備知識として少しでも広げたい+本公演のメンツに引っかからない客層に公演情報を届けたいという目的で立ち上げたこれも3回目、阿部定事件のことに詳しくなったってなんの得にもならないだろうが、それが実際に起きた出来事である以上、興味を持っても無駄にはならないはず。今回は以下の2点に関するプレゼンテーションもさせてもらう予定。ご予約まだ間に合います。

次はクラウド・ファンディング【Motion Gallery】への参加。制作費を支援してくださいという募集だが支援金額に応じた特典には榎本敏郎監督の撮り下ろしメイキングDVDがあったりもするし、愛仮企画で有料が成立した稽古見学も特典として取り入れた。
本音を言えば、数多ある演劇の支援募集があんまりにも胡散臭いもんだから「誠実一本勝負」をモットーにしての挑戦で、小劇場に出資しても見返りがないし作品も取り立てて面白くないからなあといった尻窄み感を阻止したく乗り出した次第で、目標金額の達成も無論重要だけれど、それ以上の志と我々ならではのスタイルがなければ意味がないとこれまで1年じっくり意見交換を積み上げて打って出た勝負。
制作チームにはいつの間にか勉強を重ねた専任ができた。

その特典にもなっている【カルチベート・チケット】の導入が今回は何よりの目玉。
「観客が他の観客のチケット代を肩代わりすることによって公演を支援する」というスタイルで見知らぬ誰かのためにチケットを購入して受付にストックするのが基本、常々アンファンテリブルを応援してくれている方は是非見知らぬ誰かにチケット代をおごって差し上げてください、というシステムである。
加えて我々はクラウドファンディングの達成金額に応じての発行及びtwitterやFacebookでの拡散効果に応じての発行を考案、これこそ応援してくださるお客様の力で新たな観客を呼び込むことのできるダイレクトな方法で、支援募集の特典としても一番誠実なリターンなんじゃないかと思っている。

このシステムを考案したのは京都の劇団「地点」で、地点がこーゆうことやってるよ、と聞かされた時に、形で残らない演劇への支援を何で返すのが一番誠実かと悩み続けていた中に光明が差した。
発行されたカルチベート・チケットはストックされて、当日の受付で希望者に発行される。カルチベート・チケットを入手した人は、タダで観られるのだ。
「観たことないから観てみたい」の一心で少ないお小遣いをやりくりして足を運んでくれる高校生たちや、とにかく毎月びっしりと観劇スケジュールを組んで寝食すら注ぎ込んでいる演劇ファンやリピーター、「へえ何これただで観ていけるの?」と足を留めてくれるかもしれない劇場近隣の住人や、「小劇場のお芝居も観てみたいとは思うけどチケット安くないよね」と遠巻きにしている演劇初心者さんなんかが、カルチベート・チケットをきっかけにしてひとりでも新しい観客になってくれたら、悪くない結果だ。
このシステムは、演劇製作者にどんどん真似してぐんぐん改良してばんばん広げて欲しいと願っている。

大昔、本公演の終演後に突然始まるゲリラ公演というのをやったとき、本公演で入場料を戴いているし告知なく上演するので重ねてのお代はもらえない、しかしやったりやらなかったりするからサービス公演にはできない、ならばゲリラ公演のお代はカンパ式とした。
つまり「これからゲリラ公演をやるので、お急ぎの方はどうぞおかえりください。お時間のある方は是非観ていってください。お代はカンパ式です」とアナウンスして、終演後に劇場の外で帽子や紙袋を持って立って、お代を頂戴するということになった。
「それだけの価値があった」と本公演のチケット代よりたくさんのお金を入れてくれた方もいたし、これしか持ち合わせないからとお財布を逆さまに振ってってくれた方もいたし、ごめんなさいと言って小銭を入れていってくれた方もいて、その人は次の日にわざわざ劇場を再訪して「昨日はお金を少ししか払えなかったけど、この企画にはもっとちゃんと払いたいと思ったから」と追加カンパをしてくれた。

本当は、お芝居の値段なんて、それでいいと思ってる。

無論、そんなのは非現実的な理想論に過ぎないとは承知だし、これまで実際に制作費の大赤字を抱えて自己破産までしているわけで、あの頃には自分の尊敬するスタッフや大好きな役者たちに力を貸してもらいながらその労力の対価をまったく支払えなかったことが本当に骨身に染みる惨めさで、支払えるお金がないのに芝居なんかやっちゃいけないんだと凹み、活動休止状態になってひきこもっていた。
たまたま出かけた先で、未払いのままだったスタッフのひとりと出くわし平身低頭、「マエカワ今なにやってるんだ?」と訊かれて「どこにも支払えてないから、もう芝居はやれないんじゃないかと思います」と弱音を吐いたら、「それじゃあダメだ。おまえに芝居をやらせたいから俺たちはギャラが出なくて持ち出しになっても泣いたんだから、おまえは芝居をやらなくちゃダメだよ」と叱られた。

そういう想いの先に、クラウド・ファンディングなんてスタイルが登場したんだから、やっぱりやってみるしかないじゃないか。
あれこれの手をすべて打たないうちに制作費がないなんて言えない。
それと同じことを観客にも考えたら、カルチベート・チケットだった。
そして、それらのことを自分の言葉で伝える機会の一つとして、プレ・イベントがある。

演劇生活40年の去年は大病に倒れての公演延期だった。
個人的な事情で言えば、生活のためのアルバイトを始めてようやくお金のことをちゃんと考えられるようになったということなんだろうけど、だからって、この公演がお金のことばっかり考えて作られるわけじゃないってことは仲間たちにも観客にもちゃんとわかってもらえてると信じられるから、踏み切れた。

新しいことをやるのは気持ちがいい。知らないことをやるのは楽しい。
人生は思ってるほど長くないんだから、結果がわかってることよりも結果が見えないことに時間を使いたい。

ようやくの本気。



  1. 2015/05/29(金) 08:39:02|
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