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仕事部屋

ありがとう。

フライングも含めてTwitter、Facebook及び直接のメッセージでたくさんの人に日を跨いでなお祝ってもらっている、何より50歳になるまで無事に生き延びてきたんだから大したもんだと自分を祝っている、二度目の20歳の次は三度目の20歳を目指そうと思っていたが、孫ができるとなるとうかうかしていられない、それに50歳というのはなんだか特別な感じがする。

子どもの頃に憧れていた大人の年齢は30歳だったけど、通過するときに30歳じゃまだ駄目だと焦った覚えがある、その焦燥感が50歳にはない、前夜から一人うきうきして、職場の同僚にも「次に会うときは50歳だから」と無意味なアピールをしたり、50歳だからもう寝なきゃとか50歳だからもうちょっと寝てようとか、自省にも自戒にもならない自覚ばかりだが。

父は45歳のとき、母は52歳のときに亡くなった、私が娘を産んだのは確か母が50歳になったばかりの夏だった、娘の予定日は秋と聞いているから母と同じ頃になる、あと2年くらいで人生がふっつり途切れる可能性は拭えない、母は私が出産するときに付き添ってくれたし産後のしんどい時にもずっと家にいてくれた、同じことはしてやれないからせめて母より長く生きて出番を待ちたい。

富山から伝統工芸の職人さんたちを引き連れてビームスジャパン@新宿に乗り込んできた羽くんの企画出店でやってたワークショップで錫のぐい呑を作らせてもらった、羽くんは着実かつ精力的な活動っぷりで文洋曰く「縁起のいい男」、今回も飛び込みで企画を売り込んで実現させたそう、高岡の駅地下で出会ったのは昆虫系の稽古期間中に富山大学に出向いたときだが、好きなものや人やコトを固めてしっかり仕事に結びつける豪腕は健在だった。


IMG_1414.jpg型枠の中にぐい呑の型を置き砂を詰め込んでいく。上下に分かれる型枠の下部にはぐい呑の型、上部には筒状の型を埋め込む(らしいが羽くんは手順を間違えてあとから穴をくり抜いた)。
IMG_1420.jpg砂を硬く押し込んでからぐい呑の型を取り外すとぐい呑の型をした空洞ができる。その空洞に溶かした錫を流し込む。筒状の型で作られた穴がその水路。
IMG_1429.jpg錫が固まったら型の中から掘り出すようにして取り出す。砂も熱い。鋳肌を見るとどんなふうに錫が流れ込んだのかがわかる。製品にするものは均一にするがここではわざと鋳肌が残るようにしている。
IMG_3182.jpg羽くんがフチのでこぼこを丁寧に削って仕上げてくれた。孫への贈り物にします。


外は雷雨になっていて食事しての帰り道にビニール傘を買った、満腹すぎてせっかく亭主が用意してくれたキルフェボンのいちじくタルトがまだ食べられずにいる、この1年で活動範囲が徒歩及び自転車圏内に限定されつつあるが亭主が動いてくれるからそれでいいじゃないかと開き直って、自分への贈り物としてAmazonで注文したガンホの中古DVDが届くのを待つ。

子どもの頃の誕生日は夏休み中だったから学校の友達よりNHKの仲間に祝ってもらうばかりだった、呼び出されて友達の家に行ったらサプライズで誕生日の飾り付けがされていたのは高校生の頃だったか、作家になった最初の誕生日には出版社の人や挿絵の先生やワークショップの連中を一堂に集める酔狂もしたし、芝居の千秋楽に重なってバラシのあとの楽屋にケーキが用意されていたこともあった、生まれたことを祝ってくれる人がいることは本当にありがたい。

そういえば娘の誕生日会をやったことがない、帆太郎は娘の誕生日にかこつけて私が買ってきた、娘はトロンボーンを欲しがっていたのに、今年の娘の誕生日には妊婦にも着られそうなデザインのワンピースを送った、私が30代の頃に買い集めたgreenのコレクションつまるところお下がりだ、娘が喜んでくれそうなことをこれまでしたことがあっただろうかと考えて情けない、もっと言えば娘に限らず誰かを喜ばせるために何かをすることがとても下手なんだと思う。

50歳にもなって今更だけど、まだまだ強張った心がどこかにあるに違いない、正直に生きているとは思うのに素直に生きているとは思えない、自分ひとりが世界の真ん中でその世界だってそこにいて見渡せる程度の、恥は重ねてきたけれど恥だと気づいてすらいないそれの方が多いだろう、そもそもいつも誰かをがっかりさせながら厚かましく生きている。

それでも、生きているだけまし、とも思う。
50歳にもなれば振り返って誰より自分ががっかりするあれこれが山ほどあって当然じゃないか。

だってこれから1年くらいの間は明日も明後日も来月も毎日50歳だし。

IMG_7701.jpg
タルトは日が変わる前に食べた。

  1. 2017/08/19(土) 23:59:21|
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