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仕事部屋

小説家という病

不幸せな気持ちのときにはハッピーエンドの物語など書けないのに、物語のハッピーエンドを書いていると幸せな気持ちになれたりする。
きっと、幸せの方が、人を引き寄せる、より強い力を持っているからなんだろう。

ようやく終わりを見つけて、脱稿。
物語が終わらなかった二日間は、血を吐きながら自分を探った二日間。
つまり、物語は、いつでも、ここに、小さな白い蛇のように、とぐろを巻いている。

小説は真実であるという嘘。
小説は嘘であるという真実。

憂鬱でも気まぐれでもなく、私という病を恐れる臆病者のために吐き気がするほどの言葉を紡ぐ、
それもまた病。

「終わり」はいつもむずかしい。

あたしは、また恋人を傷つけてしまった。
十の言葉のうち、一つだけは、どれほど時間をかけても飲み込むべき言葉だった。傷つけようとして言うんじゃないけれど、傷つける言葉だと気づくのが、いつでも遅すぎる。妄想癖や観察癖や分析癖はともかく、ただの無神経に小説家の性分だのお仕事モードだのの言い訳はできない。
どうしてこうも出会い頭に振りかざしてしまうんだろう。
刃物を持ったキチガイとおんなじだなあ。
ひどいことを言ってしまった。
ごめんなさい。

見渡せる大自然と、私の中に形作られている自然に、
すべてを包む宇宙と、私の中に息づいている小宇宙に、どれほどの違いがあるのか。
あたしの恋人は、ひどい自然災害に耐え忍びながら、恨めしそうに天を仰ぐんだろう。

どうか、あたしを怖がらないでいてくれますように。
あなたが図太い人であることを祈ります。
それとも、傷口から血を滴らせながらも、へらへら笑って手を差し延べてくれる人であることを。
呆れるほど強い人であることを。

  1. 2007/05/07(月) 02:47:13|
  2. 雑感
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