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仕事部屋

恥色さくら貝。

自殺する女の子の話に「ポジティブ」とタイトルをつけたあたしだから、そこらへんの感覚がズレてるんだろうとは思うけれど、最近、人から発言がネガティブだと言われて、かなり驚いた。

何をそう評されたのかというと、「もう何も決めない。結果を出そうとかきちんとやろうとか、そういう気持ちはもうなくなって、どうでもいいや、どうなってもいいやって思ってる」というようなことを言ったときだったと思う。もちろん、それだけじゃなく、その他の色んな部分でその人はそう感じて、そう言ったんだろうから、そう思われていることは否定しないけれど。

「これからも頑張りますから応援してください」とか「みんなのお陰で今ここにいられると思う」とか「今できることの全部をここでやってる」とか「私のメッセージがみんなに伝わると嬉しい」とか、そういう発言を、あたしはネガティブに感じるし、そもそも「みんな」という不特定の対象に向けてとか「努力」とか「感謝」とかってことを口にする人が気持ち悪い。

そう思うのはいいんだけどねえ。なんでいちいち人前で言うのかねえ。
言わなきゃどうにもならんというところが大変にネガティブな状況であるように見えてしまうから、耳に入る言葉が尚のこと胡散臭く、言ってる人が大変に痛ましく見えます。
偏屈でしょうか。

でもさ、きっとある程度みんみん頑張ってへこたれて這いつくばった人には、「どうでもいい」のポジティブさが通じるんだろうと思うのね。
まだそういうところを経験していない人は、這いつくばる姿勢の、両手を地面につくってそれだけで「負け」のように感じてしまうんだろうけど。
あたしなんぞは、這いつくばるより、いっそ肘枕で寝っ転がっていたいわけだし、必死に前を向いてがしがし歩くなんてのは究極にネガティブで、もう限界ですって悲鳴あげてるのとおんなじって思うから、目標掲げてたり夢に向かってたり志を持ってる人を見かけると大変に胸が痛む。

自分が子供だったころもそう言われてた。
「麻子の気張り方は痛ましい。生き急いでる感じがして恐ろしい。ものすごく繊細できらきらしているけれど、ガラス細工のように脆くて、すぐに壊れてしまいそうだ」とね、サランラップのCFに出ていたとある女優さんに言われましたことよ、十四歳のあたし。

あたくしはあたくしで、大人のゆるゆるした生き方が情けなくてだらしなくて諦め切ってる駄目な感じに思えて、いつも苛立っていた。気づけばあたしがゆるゆるさー。何度も壊れたけれど、何度もリサイクルされて、もはや違う材質になっているんだろう。

ふっとね、全部まともにやってきてるなあと感じたときから、ゆるっと。
望んだ結果とは違うけど、幸運にもきちんと人目につくところでやったなりの評価をされてきてるなあとか。もう自分が何者かになることはなくて、きっとこのままなんだと感じた瞬間から、あたしは自分が自分でいることに概ね満足していられるようになったし、その上で、新しく何かを始めたり、これまでのことを大切に振り返ったり、気持ちの動かし方がとても自在になった。

それはきっと、タイミングってものがあるのでしょう。年齢とは関係なく。
ま、なんにせよ、年上の人間を評するもんじゃありませんな。わはは。
自分の目にどう映ろうが、どう逆立ちしたって、生まれてきていない時間の分は理解も共感もできないのだから、「はあ、そうなんですか」と思っとけばよろしい。

ただただあたしは、ひとまず自分の物差しを宛てがわないと計れない若さが恥ずかしい。
親しい友人であればあるほどに、あたしがそうだったのと同じに自分の若さを微塵も恥ずかしいと思っていない若さが、どうしようもなく恥ずかしくて、いたたまれない。
知らないことは何も恥ずかしくないけれど、知ったつもり、わかったつもりって恥ずかしいじゃないか。あたしは、隣のテーブルに一見して年上の人がいるってだけで、ろくろく喋れなくなってしまう。誇りを持つことと、恥じないことはまったく別のことだ。
この恥ずかしさをどうにか気づかせよう、なんとかして恥じ入らせようと言葉を繰るのだが、無駄なんだろう。それらもひっくるめて死にたくなるほど恥ずかしくなる時期まで、根気よく見守るしかないんだろうなあ。
とは言っても誰でも彼でもを見守れるわけじゃないから、その他の若い連中には、恥じ入って死ねと思うし、あたしもまた恥じ入って死ぬんだろう。

だから、あたしの年上の友人たちにも、そう思ってもらえてたら嬉しい。

何も知らない、何もわからないと自戒して生きることは美しく、難しい。
今も私は貝になりたい。
  1. 2007/09/10(月) 14:28:59|
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