ブルハ本編より好評の恋愛相談、ブルハの連載終了後の継続をlivedoorに打診したが、恋愛相談は購読促進のプロモーションなので無理との回答、livedoorでの連載は今期で終了となり、必然、恋愛相談も受付終了となる。
ブルハ本編は担当氏の尽力により他社の携帯サイトで新シリーズを継続することになっているが、そこで恋愛相談まで引き継いでくれるかは未定。PVが多くても少なくても原稿料に影響はないし、販促とはいえ無料奉仕としてはかなりの分量で悩みごとが寄せられているので、どこか原稿料が派生するような受け皿があるとありがたいのだけど、なけりゃないでブログごとlivedoorからどっかに引越して、自分販促の奉仕活動を続けようと思う。
自主運営では管理が面倒ってだけなんだけどさ、ギャラ下さる企画あれば、今期終了後に
恋愛相談及びエッセイのブログは格安にて身売りしますんで、早めに声かけてください。
まあ、今どき、人生相談や雑感コラム、恋愛をテーマにしたエッセイみたいなものなんてのは、読み物としての水準さえ求めなければネット上でいくらでも読み書きできるわけだから、原稿料払ってまで記事取ろうってところはないんだろうなあ。
シティロードで連載した「人生相談・快楽主義」に始まって、家内雑感記時代にサイトのコーナーとして再開した「快楽主義」でも、livedoorの小説ページで募集した投稿でも、ここのブログのメールフォームからの投稿でも、匿名の悩み相談への回答から知人となって、ぼちぼちのお付き合いを続けている友人が何人かいる。
そういえば、チャットで知り合ってあれこれメールして、いつかハワイのお土産をわざわざ送ってくれたサガンちゃんは、元気にしているだろうか。
まだ高校生の頃、流行のいたずら電話がひっきりなしにかかってくるので、何かよほどなんだろうと思って、かけてきたまま無言の相手に「何かあるんだったら話してよ」と言ったら、次の電話では「いたずら電話しててごめんなさい。がちゃって切られなかったの始めてだったから、つい何度もかけちゃいました」と話し始めてくれた。その子は中学生の女の子で悩みごとがあって、あたしはそれを聞いてちょっとだけ意見なんかもして、その後は何度か文通もした。あの子はどんな女性になっただろう。
定時制が使う教室の机に鉛筆で落書きされてた悩みごとに、暇つぶしのつもりでコメントを書いて「励ましの気持ちです」とサイコロキャラメルを入れておいたら、翌日は机の中に「どなたかわからないけれど、ありがとう。お礼です」と、四葉のクローバーの押し花を貰った。ひらひらした押し花を破いたノートで丁寧なお手紙折りに包んだそこには、「今までは私のお守りでした。これからは、あなたのお守りにしてください」と、鉛筆書きのメッセージがあった。もちろん、私は今もそれを持っている。私は一年で、その教室を別の時間に使うのは三年生だったから、二つ年上の見知らぬ人。あなたはどうしていますか。
「悩みごとがあります」というタイトルで、見ず知らずの人からいきなり送られてきたメールもあったが、深刻な様子だったので、深夜でも早朝でも即レスを心がけていた。リストカット癖のあるその子からの返信が途絶えたときには、決まって後日に「またやっちゃいました。ごめんなさい」と遅れてメールがきていた。「今度切りたくなったらいつでもいいから電話してね」と言っておいたのだけど、電話がかかってきたことはない。「元気になったら遊びにおいで」とライブに誘ったら来てくれて、一度だけ会ったその子は、真っ黒な髪を長く伸ばした綺麗な女の子だった。最初のメールから一年ほどが経ったある日、携帯に見知らぬ女性の声で電話があったが、私はその人の名乗る名前に心当たりがない。はっと心当たって訊ねると、その女性は、「娘が亡くなったことを伝えるために、娘の携帯のアドレス帳に残された方に順番に電話をしています」と言う彼女のお母さんだった。助けてやれなかったなどと傲慢な後悔をすることはない。ただ、ほんの一瞬でも出逢えてよかったと思っている。あたしに辿り着いてくれてありがとう、と思う。
正直、見知らぬ他人の相談事への返答に悩み、眠れなかったり、気持ちが沈み込んだりするのはたびたびだ。不愉快にこそならないが、いちいちちょっとだけ傷ついているんだろうと思う。
私に届くあれこれの悩みごとは、販促じゃあ済まない人の心そのものなのに、少しでも早くに回答してあげたいからブログに掲載したいと言えば、PVにつなげたいのでこちらのページでやらせてくださいと却下されてしまうのがもどかしい。
ひび割れて今にもばらばらになりそうな心の欠片を送ってきてくれる人のことも、その人との一瞬の触れ合いを無駄にしないよう精一杯に言葉を選んで返している私のことも、赤坂の新社屋で働く人たちには関係ないことなのだろう。「原稿料をお支払いできる企画にはできません」と言われると、見知らぬ誰かがふいっと悩みごとを書き送る瞬間のこころと、それを一つずつ咀嚼して飲み込んでいく私のこころには文字に書き記すという労力を加えても一円の価値もないと評定されたようで、ちょっとばかり虚しくなる。
もちろんこれは担当氏を責めるものではないので、担当氏は何も気にすることなどない。
他人の悩みごとなど、どうでもいいっちゃどうでもいいのだ。
だけど、見知らぬ誰かに触れられる入り口は持ち続けていたい。世の中の隅っこで、ぽかんとしたまま眺めるだけの私に「ねえ、暇なら聞いてよ」と声をかけてくれる人がいてくれるのは、嬉しい。悩みごとには実際のところ余り役に立たないんじゃないかと思うけれど、私はきっと、かろうじてそこでだけ世の中とつながっているのだろうし。
結局、あたしは「いいひと」でも「奉仕的精神の持ち主」でもないってことだろう。原稿料が派生しないと価値を認められていると思えないってあたり、どこかに自分のプロモーションだと思ってる節があるのかもしれないんだから。てことは、やっぱ自力でやるのが正当なんだな。
しかし、自力でやるとなると今度は「いいひと」アピール、「奉仕的精神の持ち主」プロモーションっぽくて、なんだか恥ずかしい。そうならないようひっそりやりたいが、ひっそりしてたんじゃあ誰もあたしに辿り着いてくれないだろうし。「お仕事なのに、お仕事以上の誠意で取り組んでいます」くらいのスタンスにしておきたいんだけどな。
いいのか。いいや。
趣味ってことでこそこそ続けます。
- 2007/09/26(水) 22:16:48|
- 雑感
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| trackback:0
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| comment:9
こんにちは。
不安神経症や友達関係で相談コメントを投稿しましたロボです。
毎回お返事くださってありがとうございました!!
あれからもブログや小説いつも拝見させてもらってます。
前川さんのアドバイスには傲慢さがなくて自発的に自分と向き合う気持ちになれました。
今まだ向き合ってる最中ですが逃げずに頑張ります。
長くてすいません>_<
応援してます!
ファンとして!
- 2007/09/27(木) 14:07:03 |
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- ロボ #-
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悩みは誰にでも相談するわけでなく、隣の○○ちゃん、でなく前川さん。前川さんに聞いてほしい!(勝手で迷惑かなと思いつつ)と思うことがあるのは私だけでないと思います。お悩み相談所ではないかもしれないけれど、前川さんの言葉向こう側に、救われたりいている人は、たくさんいると思います。私も…。どれだけ真剣に答えてくれてるか、ちゃんとこちらに届いています。ゆるゆるでもいいですよ!前川さんさんの言葉に触れるのをいつも楽しみにしています。心身大切にして下さい。
- 2007/09/27(木) 22:23:10 |
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- サト #-
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いつもありがとうございます。その後、奮闘されてるとのこと、なんの力にもなれませんが、向き合う時間が有意義なものにできるようブログからひっそり応援します。またしんどくなったら、いつでもこぼしにきてください :)
- 2007/09/28(金) 23:40:29 |
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- まえかわ #-
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ありがとうございます。心身は今のところ元気。しんどいことがないとなんだか人生をサボっているような気がするのは貧乏性なのでしょうか 笑
ゆるゆるのお許しを戴いたので、自信もってゆるゆるします!
- 2007/09/28(金) 23:42:11 |
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- まえかわ #-
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いたずら電話の相手とお話した頃から(きっとずっとそれ以前から)、自分にたどりつく人達に、ずっと開かれたままでいるんですね。
だからぼくの声も拾ってもらえた。
無償で信念のやりとりをしてもらえること、いつもすごく嬉しいです。
感謝、です。
時間や心を傾けてくれてありがとう、です。
ぼくの中には、まえかわ先生の言葉や、読ませてもらったいくつかの作品が今もしっかり息づいています。
こういうものを、お金で全部取り出してみせることはできません。
一度生まれた関わりを、物々交換で汲みつくすことはできそうにない。
ご飯を食べて、空腹より先に存在していた命をつなぐように、お金はきっと、こうありたいって意思がいつかどこからか呼び込んでくるものだと思っています。
そんな悠長な、知ったようなことを言いたくなったのは、ぼくもちゃんと、まえかわ先生の残してきた作品を読むためにお金を払ったことがあるからです。
- 2007/09/29(土) 20:32:00 |
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- レフ #-
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「何かあるんだったら話してよ」
というせりふが、読んでいてたまらなくよかったです。
その年頃の女の子の諦めや思い切りが、息が吹きかかるように感じられる気がするんです。
- 2007/09/29(土) 20:37:50 |
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- レフ #-
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いつも誠意溢れるコメントに励まされます。どうもありがとう。
開きっぱなしなのは母譲りの性質で 笑
芝居をやるときには、公演の後にお客さんと飲む機会もあるのだけど、小説を書いて本を出すときにはそういう機会がないから、販促プロモーションというよりは、むしろ小説を読んでくれた人へのアフターケア的な窓口を持っていたいと思う。
「この人の小説を読んでみたい」と思ってもらうのも「どんな人がこういう小説を書くんだろう」と思ってもらうのもあたしには同じなのだけど、すっぴんを先に見られてると勝負顔見せるのが恥ずかしいって感じがあるからね 笑
芝居でも小説でもブログでも、たまに「ありがとう」と言ってもらえることがあって、不意にかけられるその言葉に、じいんとしてしまうことがあります。どんなに原稿料がよくっても、それがないのはやだから、やっぱりあたしは恵まれているんだろうと思う。
ディスプレイの向こうにいる顔も知らない誰かって距離感、あたし結構好きなんです。皆さん、ほんとにいつもありがとう。
- 2007/09/30(日) 01:45:14 |
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- まえかわ #-
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