ケータイlivedoorに残っている小説「ブルーハーツ」の携帯PV数が累計100万を回った。
皆さん、どうもありがとう。
ちょうど今、書籍になった方の「ブルーハーツ」を読み返しているところ、夏から始める続編にこのスピード感やスライド感が取り戻せるかなあ。
考えないタイプなのでするっと書いてしまうのだけど、短いエピソードにもうまい!と感心する部分がちゃんとあって、なかなかのもんだと思います。
携帯で横文字追って下さった方は、ぜひ単行本も読んでみてください。
「鞄屋の娘」「パレット」+年内(秋ごろ?)に出る予定の新刊で、少女時代三部作。
複雑特異なあたしの少女時代を一本の小説に埋め込むとリアリティーがないから、別の話にするしかないんだけれども。
仕事のことを書けば「ネイバーズ・ホーム・サービス」「劇情コモンセンス」「すきもの」あたりになり、恋愛カテゴリに分けるなら「愛という」「これを読んだら連絡をください」「いつか愛になるなら」だろうし、「晩夏の蝉」「すべての愛の1%」「夏のしっぽ」は文芸のたしなみ、「ファミリーレストラン」「海へ向かう」などは懺悔録に近い。
もちろん、これまで書いた小説は全部自分の内面のどこか一部分を培養して作ったものだと思うし、小説を書く人はみんな自分の細胞を切り売りしてるんだろうと思う。
鞄屋の娘を書いたのが三十三、自分のことなどまだ何も見えていなくて、人から見た自分を自分の望む通りの自分にすり合せられないことに、いつもじりじりしていた。
二作目を書くときに自分を棄ててかかってようやく、棄てられない自分に気づいたのかもしれない。
役者のときと同じことをぐるぐるやってるだけだなあと気づいたのは三年目の終わりくらいだったか、それが、仕事としてやっていこうって覚悟(のようなもの)になって。
今はどうだろう。
志をもってやれているだろうか、自分のしていることがわかっているだろうか、周囲がちゃんと見えているだろうか、狡いことをしていないだろうか。
子供の頃から、夢や目標など一つもなかった。夢を見るほど現実がスカスカじゃあなかったし、目標を持つほど長い道のりじゃなかったから。
どんな自分になればいいのか、何をすればなれるのか、そもそも自分は何をしたいのかと考えたことがなかった。
いつも目の前には自分のすべきことがあって、そこで期待されているだけの結果を出すのに必死だった。
自分が「そこにいる」ってことに、責任と役割と報酬があって、あたしはいつでもそこに何者かとして立たされていたのだから、自分は何者かと考えたことがない。
「前川さんのお嬢さん」であっても「役名○○ちゃん」であっても、あたしの中身はずっと同じだったし、「役者の」「小説家の」「妻の」「母の」「恋人の」と、その場に合わせて冠が入れ替わったところで、責任と役割と報酬のあるところを選んで立っている感覚は変わらない。
なんだ、結局、七歳のときからずっと同じじゃんって 笑
だからこそ、見渡してしまう。
ここはあたしの居場所なのか、責任や役割が果たせているのか、相応しい報酬を得ているのか、何を必要とされているのか、常に測ってしまう。
「あなたほど冷たい人をみたことがない」と言われると、嬉しくてにやっとしてしまう。
あたしにとってそれは「お父さんにそっくりだね」と言われていることと同じで、それが侮蔑であろうが敬意であろうが、父に似ていることはあたしにとって嬉しいことなのだ。
それが物事の筋道であれば、その過程で誰がどう傷つこうが自分がなんと思われようがちっとも構わないと思っている、そこを「冷たい」と言われるのだろう。
あたしは他人の感情がうっとうしい。
感情を剥き出しにする人は、大概が物事の筋道をないがしろにするし、物事の筋道を踏めない言い訳に感情を振りかざす猿だ。もちろん、あたしにもそういうことが起こり得るけれど、あたしはそういう自分が嫌いだし正しいと思えない。
感情なんてのは形のない曖昧なもので、些細なことでどうにでも変化する。
そんなものを目安にしたって、物事を見極められるはずがない。
感情は、自分の体内に宇宙を作る、それだけでいい。
たとえば、芝居は天体観測ショーで、プラネタリウムではない。星は電球じゃなくて本物でなければならないし、望遠鏡のない人には見えないんだから。
小説は図鑑かな。知りたい人には役立つこともあるだろう。
ああ、際限なく色んなことを書きそうだから、もうやめとく。
何はともあれ、今日は犬の散歩へ。
- 2008/06/04(水) 13:47:32|
- 雑感
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はい。頭で考えるとそう答えられる。けれど、心は時々自分を見失ってしまう。そういうときのあたしは、きっと他人のことが見えていないのでしょう。だって、「自分」なんてもんは、他人や世の中という周囲があって存在するものですもんね。kanさんがそう言ってくれているだけでも、あたしはあたしでいられるのだと思います。
- 2008/06/05(木) 02:47:14 |
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