言葉を紡ぐ人には柔らかな心を持っていて欲しいと願っている。
自分だけが知っている景色や感触や記憶を、できるだけそのまま言葉にのせる、それだけが向こう側につながる隠し扉なんだよ。
たった一人の心に届けるために描いた絵が、本当は一番、誰の心にも忍び込む近道になるってことに気づけば、言葉はもっと力を持つに違いない。
暗がりに浮かぶ人たちの姿をしっかり見渡して、ちゃんと自分の目に光を受けて、そこから、たった一人の誰かのために紡いだ言葉を投げかけていく、その光景こそが、向こう側に透ける絵なんだから。
暗がりに向けてぼんやりした光を発するより、たった一人にしか届かない救命信号を打つ。
結局は、求める心の強さ、なのかもしれない。
言葉の力を信じることと、気持ちがそこに負けてかかること、でもあるんだろうけど。
つまり、それが真実であること、かな。
言葉にして伝えたいようなものが何もないなんて、心が頑ななだけだと思う。
何もないってことを描いたっていいんだし、それを見る人はそこに何かを見つけるかもしれない。
柔らかく震えて、どんどん傷ついて、たんまり血を流せばいい。
小心者ほど言葉が多いもんだよね。
言葉を使わない人は、臆病そうに見えるけど、その実、ただ鈍いだけだったりする。
最初から、言葉を組み合わせようとすれば、景色は遠のくよ。
言葉を絵の具にして心の風景を描かないと、ただの看板屋になってしまうよ。
歌でも芝居の台詞でも物語の断片でも。
言葉を紡ぐことが、一番自由になる近道だからね。
- 2008/11/19(水) 04:20:22|
- 雑感
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言葉で伝えたいものを文字で伝える事って難しいですよね
文字面だけで相手の言いたいことを100%汲み取ることって相当難しいことだし勘違いしてしまうことだってあるでしょうし・・・
言葉って大切ですね^^
- 2008/11/19(水) 19:36:48 |
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- K・N♂ #dUSuNTrU
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>K・Nさん
口にする言葉と書かれた文字はまたちょっと働きが違いますね。
ニュアンスが伝わりづらいぶん、文字にするときには正しい意味合いと認識が重要になる。
けれど、文字を見てその人の表情まで浮かんでくるとか、声音が聞こえてくるとかってのも、また素敵なことだし、文字の意味合いだけを追っていると、それを読み取れなくなったりもするから、結局はもっと深いところでの結びつきや真っすぐに向けられている何かを感じ取るアンテナ頼みってことかな。
相手の言葉を知るには、向き合っていないと、アンテナが働かない。
相手のことがわからないときは、どちらかが向き合うことを避けているんでしょうね。
伝えたい、知りたい、感じ取りたいと強く望めば、言葉は音符のようにわかりやすい記号になるものだと思います。
- 2008/11/20(木) 00:30:42 |
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- まえかわ #-
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