FC2ブログ
仕事部屋

私は少し黙っているべきだと思う。

一つことに囚われると、どんな言葉を目にしても暗号を読むように結びつけてしまう、それ自体は誰にも起こり得ることだから責めるつもりはないけれど、向き合わないまま伝えたつもりになって他人の言葉を深読みしていては、いつまでも現実を動かせないじゃあないか。

ブログをやっていて毎度面倒になるのは、吐き出す言葉の真意を探られること、現実に照らし合わされること、私信のように受け取られること、だろうか。

あなたのために選んだ言葉は、ちゃんとあなただけに向けるよ。
ここにあるのは「あなたがた」への言葉、もしくはあたしの飯の種だから、勝手に拾っていかないで欲しい。

なんてね、要は回りくどい言葉を選んで書くから深読みされるってのもわかってるんだけどさ、文体に悩むときには反応のあるところで試すのが一番だと思っているし、つまり、ブログなんかに書き散らしてる言葉は、どれもあたしのほんとのところとは関わらない、別物だってことが、言いたかった。
フィルターの話も、つい数日前に書いたじゃん。
どうせ読むならもうちょっときっちり読め。

ネタメモっていうのがあって、あたしは朝なり昼なりに目覚めると、ただ思いついたことを書き留めているそれを開いて、その日に思考する何かをそこから選ぶ。

たとえば「きみをミッシェルと名付けよう」と書いてあるのは、数年前に初めてか二度目だかワイトを観たときに聴いた歌の歌詞の一部で、あたしはその場でそれを書き留めた。
こないだのライブで久々にそれを聴いてタイトルに使わせてもらった。勝手に。
ちなみに「きみの名前を知っていれば、いつかきみを糾弾することができる」は、今読んでいる『チャイルド44』からの引用で、これはメモするまでもなく、そのままリアルタイムで使った。勝手に。

読み物を提供することはあたしの仕事の一部だし、あたしにとってブログを書くことは仕事道具の手入れをするのと同じだ。
そのとき心に浮かぶことをなんてスマートな立ち位置ではやっていられない、もっと淡々黙々とした無目的で非生産的な作業だし、そうしないと続けられないくらい、本当のあたしは臆病で、言葉の使い方が下手だ。
時間で区切られないだけ、常に言葉という仕事道具に囚われて一日を過ごしているんだろう。
勤務時間外にも拳銃を持ち歩く警官みたいなもんでしょうか。
だから怖がられるんだけれど。

あたしはお酒を飲まないと人と話せない。
言葉を使えないし、人の目が見られないし、いくらでも黙っていられる。
だから恐縮しながらも、昼夜問わず仕事の打ち合わせや取材時には、まず飲む。
対人恐怖症と診断されるほど悪化していたのはほんの一時期だったけど、根っこにあるその資質は結局どうにもできていない。
お酒が飲めないときには、薬を飲んでいる。
それくらい、あたしは人と話すことが怖い。
お酒や薬は頭と口の動きが軽くなって、体が重くなるからいい。
でないと、あたしは人の前でじっとしていられず、ふわふわどっかに流されていってしまう。

なんかね、リアルタイムでの会話って、頭が働かない。
話している人を見てしまったり、周囲を見てしまったり、話を聞いている自分の状態を見てしまったりして、いつもその場の会話から30センチくらい浮いたところにいたりする。
記憶して、帰宅して、整理して、やっとその会話で自分が口にすべきだったことが見つかって、後からメールするのがいつもだ。

メールっていうツールがなかったら、あたしは多分小説家にもなれなかっただろうし、友達も百分の一くらいに減っていただろう。
いっそ舌など溶けてなくなってしまったっていいんじゃないかと思うことがある。
そのほうが、言葉を書き記すことの言い訳になるだろうから。

あたしのほんとのところでは、言葉にできないもやもやを抱えたまま立ち往生、ってそれだけ。
いいこともちょっとはあるし、やなことも相変わらずで、そのどれもが言葉なんかじゃどうにもできないことで、いつかやり過ごせるだろうと信じてただ耐えている感じ。
だって人を好きになったり嫌いになったりする気持ちって、自分じゃどうにもできない自然派生的なもんだと思うし、人のそれも自分のそれも、どうこうしようなんて思わないよ。

ただ、伝える。
いつだってそれだけが、最初で最後にできることだと思ってる。
人と人が向き合うとき、他に何ができる?
ハグだのキスだのは、伝える言葉がないときに使う手段なんじゃないの?
先も後もないよ。どうしたいもどうしようもないんだから。

あなたのために選んだ言葉は、ちゃんとあなただけに向けるよ。
つまり、あなたの手元に届いていない言葉は、あなたに向けたものじゃないってこと。
あちこちから拾い集めて継ぎ接いだ言葉を、目の前にいるあたしに当てはめないで。
あたしを知りたいと思ってくれるならもっとあたしを見ればいいのに、あなたも横着な人だなあ。

  1. 2008/11/20(木) 16:07:55|
  2. 雑感
  3. | trackback:0
  4. | comment:3
<<タイトルなし

comment

こんにちわ!

ブログ…言葉…文字…う~む。
僕もブログやってるんですが、前に一度いろいろあって愛着のあるブログ
泣く泣く閉めちゃったことがあるんです。
でも…やっぱり
僕の場合ブログ病と言うのでしょうか
禁断症状に襲われまして(笑)
アナログな日記帳に書くのはかったるいけれど
ブログなら気軽な気分で綴れるてんでやっぱり復活して3年くらいになります。
でも…
親兄弟や親戚果てはカミさんの兄弟や姪甥まで教えてしまったので
書きたいことが自然と限定され、良い子も見てたりするので
たとえばHなことも書けないことになってしまい
ギャラリーに気を使ったないようになってしまい参りました。
なんだか自分のブログであって自分のブログでないようなかんじで
自分で自分の首を絞めたわけで、なんだかむなしくなり
結局はTPOに合わせたブログをつくらざるをえなくなりました。

増やしたり消したり現在はメイン他etcとアダルトで
なんとか軽快に更新はしてます。
僕にとってブログは日記なんだけれど
まあ…愚痴の捨て場所&ストレス発散の部屋みたいなものかと
それと…やっぱり僕の歳時記的役割も果たしてるので
まあ…公開してるので誰かに同意を求めたり意見を聞きたいって気持ちもあるのは事実ですね。でもって僕の場合ですが
まあ…日記なので100%ほんとのことを書いてます。^^
あれ?何言ってるのやら
長くなってすみません。

そうそう!4本の「前川酒」がやっと届きました。
どきどきしながら「晩夏の蝉」の封をあけ飲み始めました。
  1. 2008/11/21(金) 12:05:12 |
  2. URL |
  3. Kenzaburo #-
  4. [ edit]

>Kenzaburoさん

ブログって、読む方にしてみれば他人の日記を覗き見る面白さなんでしょうし、普通は日記に書かれていることが真実だと思うでしょう。但し、それなりの読者を持つブロガーや職業作家にとってブログは「読み物」意識なんじゃないかなあ。嘘と真実の区別をしているわけじゃないけれど、本当のことってなかなか書けないものだと思います。たとえ、私信のメールであっても、やっぱり言葉は、空気に触れた瞬間から別のものになってしまう。囚われず、いっそ無責任に投げつけたほうが、少なくとも痛みとして伝わるのかもしれません。

「晩夏の蝉」を手にして下さってありがとう。感想をお待ちしてます :)
  1. 2008/11/21(金) 14:25:59 |
  2. URL |
  3. まえかわ #-
  4. [ edit]

こんばんわ!

僕の場合は完璧な日記&雑記帳ですが
別に自由でいいと思います。
人を傷つけたりとかはまずいとおもいますが
そもそも自由な公開の場だと僕は思いますから
10人いて10人がおんなじ感動をしたか?っていったら
疑問ですからね
僕の裏ブログなんてほとんどイメージですし
まさか本当だなんて思ってないみたいだし
それで…いいんだと僕は思います。
  1. 2008/11/21(金) 16:39:27 |
  2. URL |
  3. Kenzaburo #-
  4. [ edit]

contribute

display in just the manager

trackback

Trackback URL
http://workroom.jp/tb.php/500-96f64039
trackback for FC2 user