昨日の稽古では楽団が観に来て初めて前半の通し、皆つながりが見えてちょっと安心しただろうが、この段階で仕上がりが見えない部分はもはや猶予なしでカット候補と通告、体調不全でどんどん出番が減らされているミカさんなどこれ以上減らされるまいと奮起の姿勢。
つないでみると役者がどんなふうに芝居を立ち上げているのかがよく見えて演出には面白い、今回は難しい演出をつけ過ぎたかもしれないとちょっと反省したりもしたが、まあもう後は役者がこなしていくだけなのでぎりぎりまで待つしかない、ダメなとこはダメとはっきり見えてくるので粗ばかりが目立って悲観的な気持ちになるのもこの時期から。
今日は後半の通し、木曜の稽古休みには深夜から楽団とスタジオ入って曲作り、音楽が決まってくれば演出には仕上がりが見通せてかなり楽にはなるけれど、芝居の仕上げは全編の通し稽古からなのでまだまだ険しい道のりが続く日々。
いよいよ体力の限界が迫ってきてこれまで一時間で辿り着いた稽古場に今は一時間半かかって着いてから十五分は動けない、稽古前にリポビタンD2000、テンションに頼った芝居をやっていた頃には一日三本飲んでいたけど芝居が脱力系になってからはまったくいらなくなっていた、たまに飲むとそれなりに効いて飲みの時間まで元気だったが、帰路はボロ雑巾の如し。
その昔、佐藤信が、連夜飲んでいる役者たちに呆れて「お前らそれだけの体力があったら稽古しろ!」とぶち切れていたっけな、「◎◎と△△は初日まで飲み禁止!」と禁止令まで出して、アングラの人ってなんて支配的なんだと驚いたものだが、今は言いたくなる気持ちがちょっとわかる年齢になったのだ、モグラ連中は比較的ストイックだし構成上もお留守になることはないのだが、それでも集中の度合いが役者と演出の役割では格段に違うからなあと恨めしくはなる。
それでもやはり、演出席に座って、ろくでもない役者のろくでもない芝居を観ていられるのは幸せな時間だと思う。
初日が開くのを一番楽しみにしているのは、誰よりも私だろう。
観たくないものはバサバサ削ぎ落として自分が観たいものだけを紡いだ一本を作るのだから、こんなに贅沢な楽しみがあるだろうか。
考えてみれば、ホン書いて演出するってのはオーダーメイドで芝居を観るってことなんだし、楽しくて当たり前なんだろうけれど、やっぱりこれはとても幸福なことだと思う。
- 2009/08/05(水) 09:48:44|
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