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仕事部屋

宇宙と猿と梅のさけ。

若鶴の「梅のさけ」を入手した。

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食前酒として、湯のみ茶碗でぐびぐび飲んだらすっかり眠くなって、食後はベッドに直行。
四時間ほどぐっすり寝て、起きたところです。

寝起きで目にした「今日のNASA画像」のブラックホールに口あんぐり。
宇宙ってすげぇー、宇宙ってこえぇーと興奮していたら、親方に「あなたのような人は頭がおかしくなるから宇宙についてはあんまり考えない方がいい」と警告された。
子供のころ、宇宙についてしばしば考えていたが、それが誘因なのか。

ところで、親方の書く文字は小さい。
が、譜面はそうでもない。
「普段もそれくらいに書きなさい」と言ったら、如何に小さいスペースにたくさんの文字を書くことが好きかを、滔々と語ってくれた。
老眼なのに。
つまるところ、老いというのは、それまでの個人的な嗜好に逆らうことから始まるのではないか。
酒好きが、飲めなくなる。
小さい字が書きたいのに、書いた字が読めない。

親方は禿げてきた。胴回りも着々と厚みを増している。老眼で、話しが諄くなり、同じ冗談を三度はだめ押しして口にしないと気が済まない。しかも、今年に入って一日も働いていない。
こう並べると酷い夫だな、今すぐ別れた方がいいって言われるよね、俺でも言うよ、などと夫婦して笑っているうちは大丈夫だろうとは思うが、二つ年上の人が目前で日に日に老いを増すのを目の当たりにすると、そーいうのもひっくるめて宇宙の法則なんだとしみじみ恐ろしい。

恥ずかしいことを打ち明けるようだが、私は鏡で自分の顔を見ながら小説を書く。
暇があれば飽きずに鏡を見るというのが役者の頃からの癖ではあるが、役者は楽屋でしか鏡を見ないのに、小説を書くようになってからは、書いていないときにもじーっと鏡を見ている。
私が見ているのは鏡に映る自分の顔なのではなくて、鏡そのものなんじゃないかと思えるくらい、目線は常に鏡だ。
それほどしょっちゅう自分の顔を見ていると、自分の顔に対して自分の顔だという認識が薄れてきて、いつも飾ってあって見慣れた写真とか、いつもテレビで見る見知った顔とかと大差がなくなってくる。
なので、癖で無意識に鏡に目をやって「あ、この人知ってる」と思うことがあり、同時に、そう思うことがちょっと変だと自覚する。
これも宇宙の影響なんだろう。

なんで鏡の話かというと、顔が腫れているからだ。
寝起きで浮腫んでいるのではなく、昨日からずっと、右のほお骨を覆う皮膚が、ぱつぱつに腫れている。
昨日は赤かったので、まるで殴られたようだった。
親方は「俺が殴ったみたい」と、ちょっと嬉しそうだった。

六時間くらい顔のマッサージをしていたせいだ。
「あなたは、なんっでも、ほんとになんっでも、とにかく、やりすぎ」と親方から叱られた。
蚊にくわれても薬をつける前に掻きむしって傷にしてしまうし、気に入った店に毎日のように通い詰めたり、同じ物を一週間も食べ続けたりする嗜好について言われているのだが、その通りだと思う。

昔からそうだったっけ。思い出せないが、多分そうだったのだろう。
芝居が面白いと思うときには一年中やってたし。書くのが面白いときには不眠不休で三十四時間書き続けたこともあったし。
気に入ったものが常に手元にないと不安だ。
たいがい、同じものをいくつも買う。
ボールペンはダースで。封筒は箱で。もちろん煙草はカートンで。
一度まとめて買ったものが、なくなるまでに五年十年かかったりすることもある。
気に入ってしょっちゅう使うものが、段々と使い減りしてくると、恐怖する。
どこにでもあっていつでも手に入るものであればそうでもないが、ブルックリンのひなびた文房具屋にあった最後の一箱の封筒などは、マンハッタンのオフィスデポにも同じものがなく、あと二枚しか手元にないので使いたくない。

ちょっと話が逸れるが、私はテープ類が大好きで、ガムテ、バミテはもちろんリャンメンから絶縁テープまでを常に取り揃えている。
なかでもダクトテープが一番好きだ。世の中でダクトテープほど便利なものはないと思う。
ダクトテープがなければ生きることも空しい。
二十センチくらいを切って、手帳に挟んで持ち歩いている。使わないけど、いつも持っていないと心配だ。
そのダクトテープが、とうとう残り半分になってしまった。これは焦る。が、多分、ロフトか東急ハンズに売っているだろう。けど、なんだか不安。
不安神経症は、こんなところに芽吹いている。

そして、私は猿だと親方に結論された。
自分が猿かと思うと、妙に愛おしい。
これから毎日、「梅のさけ」を飲み続けるんだろう。

どうでもいいことをだらだら書いた。明日は原稿を書こう。

  1. 2007/01/14(日) 04:22:42|
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