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仕事部屋

言葉が下手な人ってのが、いる。

判って欲しいことは勿論、仕事の段取りや業務連絡でも、一般的な誠意や謝意や敬意でも、苦情でも、苦悩でも、愛情でも信頼でも、とにかく、伝えるのがヘタな人。

何がどうヘタかっていうと、基本、何を言っているかさっぱりわからない。
言葉の使い方が正しくないことが大きな要因の一つだけど、話題が切り分けされていなかったり、文章の構成がでたらめだったり、省略が不適切だったり、感情的だったりすると、尚のこと判らない。

それがいい大人だったりすると、ちょっと可哀想になる。
基本、自分に対しての客観性が持てない人は、言葉がヘタだ。
きっと、いつも相手が苦心して言いたいことを汲んでくれていて、それが当たり前になっているから、自分に伝える能力がないってことに気づかずにいるんだろう。

だから、判らないって指摘されても、追加の説明ができない。
伝える力のある人は、判らないと言われたら、判るように言葉を重ねるとか別の言葉を選ぶとか、それなりに腐心するのだけど、言葉のヘタな人にはそれができないから、最後には伝えることを放棄して「わかってもらえない」って嘆いてる。

放棄の理由には色々あっても、要は「これ以上の労力を費やしたくない」という意思表示には違いない。
伝わらない判らない、という状態に置かれると自分の能力を省みて努力を重ねるより先に、曲解だ誤解だと相手を批難するのも、伝えることの放棄だ。
信じられないことだけど、そうやって伝えるべきことを放り出してしまう人ってのは実際にいる。

で、そういう部分が根底にあるから、伝わらないんだと思う。
「判ってくれなくても別にいい」的な、投げやりさが、その人の言葉の誠意と真意をぼかしてしまうんじゃないかね。

なんでわかってくれないのか、と言われても、わからないものはわからない。
何が言いたいのか? 何を言って欲しいのか? なんの話をしているのか?
わからないものには、適切な返事ができない。

だから、その人が何かを言っていても、答える人は少ない。
けどまあ、返事をしないのは無礼と思うから、なにがしか、適当な、無難なことだけは答えておく。

仕事をしている人なら、直接本人には下されないところでのマイナス評価に気づかないまま、実は不適切なビジネス用語をそうと知らずに羅列して、無難に通じていると思っていたりする。

残念ながら、余り潤滑なコミュニケーションにはならない。
世の中では、自分の言葉を使えない人は、信頼されないことになっている。

けれど、返事がないよりはましなんだろうし、適当なあしらいでも反応さえあれば、なんだかちゃんと通じたような気がしてしまうんだろう。
本当に通じ合う深い歓びに触れないまま、人と通じていると信じてしまう。
そもそもの無神経で相手を疑うことは増えても、自分を疑うことがない。
結果、改善はしない。

客観性のない人は、自分の言葉が相手にどの程度伝わっているのかが認識できない。
だから、相手にとって必要な言葉を選べない。
そして大概が、自分に向けられた言葉に対しても正しい理解に辿り着かない。
分析は批難と思い、要求は苦情と思い、意見は否定と思い、しまいには言葉が伝えるそれではなく、相手そのものを見失って孤独になる。
孤独だから、伝える力が育まれない悪循環に陥っている。

伝える力とは、出力のパワーとはまたちょっと違うものだろう。
自分に向けられているアンテナを探知することや、出力の加減や、チューニングや、放送内容や。
意味を持たないそれは、他人にすれば不快な妨害電波、雑音に過ぎない。

言語が理解できなくとも、FEN は楽しめる。
そこには伝える力があるから、受け手に理解する能力が足りなくても、不快にはならない。
伝える力のある何かは、音楽でも絵画でも芸術表現でも、理解する能力のあるやなしやに拘らず、その力だけが伝わってきたりするじゃないか。
小説でいえば、つまらないけどついつい最後まで読んでしまうなんてのも、言葉の力でしょうかね。

言葉のヘタは、不器用じゃ済まされない大問題だ。
演出家にも、監督にも、女優にも、ビジネスマンにも、政治家にもいる。

どうしたらいいかって。
恥じて無言になればいい。

私はもうずいぶんと、私的な言葉を使っていない。
これだけの分量で言葉を連ねても、やはり無言なのだ。
  1. 2009/11/07(土) 22:03:12|
  2. 雑感
  3. | trackback:0
  4. | comment:2
<<タイトルなし

comment

ごぶ!

あいたた‥‥
まさに
私めのことを書かれたかんじです。
うんうん…てぇしかに…反旗の言葉もありません^^。
麻子さまのおっしゃる通りかも。

普通は饒舌で
うちの社長も10数年前の隅田川の
屋形船にて十数社の小印刷会社の宴会を
一糸乱れぬ宴会にしたてた僕の(単なる酔っぱらい)を未だに懐かしくいいます。(僕は…酒はやめたので^^)
社長は哀しそうな顔をします。)

僕は
言葉を伝えるのが
とても苦手が人で
本当は好きなのに…
おめえなんて大嫌いだ!って
いいかねない人間です。

麻子様…どうしたらいいのでしょう?
なんちゃって^^

すみません。
なんか
懐かしい場所にきたってかんじで嬉しくって。
すみません。
最近本読んでなくって^^日を改めます!
kenzaburo
  1. 2009/11/08(日) 10:19:12 |
  2. URL |
  3. Kenzaburo #-
  4. [ edit]

>Kenzaburoさま

ヘタの自覚があればいいんじゃないですか。Kさまはヘタとは思いませんけど 笑
こういうのってやっぱり年齢を重ねないとわかんないもんなんでしょうね。四十越えて急に色んなことが恥ずかしくなった感じがします。若いときは若いってことだけが恥ずかしかったのですが。
  1. 2009/11/08(日) 13:10:50 |
  2. URL |
  3. まえかわ #-
  4. [ edit]

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