風邪のひき始めというのもあるが、しばらく原稿書きから解放されることになったので、昨夜から読書。自作の絵描きの暗い話、アゴタ・クリストフなどを再読。
日中は長篇の筋立てをあれこれ試し、夕方に小説現代3月号の直しを済ませ、遅くからは昨年一月に新刊で戴いていながら積読していた、
大西巨人の「深淵」を読み始める。
字面の印象を払いのけながら言葉の意味を一つずつ噛み締めて読もうとすると非常に時間がかかってしまうのだが、100頁目あたりから文学の偏執狂とでも言いたくなるような持ち味がじわじわ効いてきて俄然乗った、が、一気読みすると無意識に文体を真似てしまうのでケチケチ栞など挟む。
川端もそうなのだが、書き言葉で創られた文学はやはり刺激的で好もしい。
なのに、自分はずるずるだらだらと話し言葉でオハナシをやっているという反省。
話し言葉の、ふわふわした文体で書かれた、どうでもいい日常をさも何やらありげに切り取った小説なんて、大嫌いだ。
ここ数年の新刊小説で鮮烈だったのは、
奥田英朗「最悪」、笙野頼子「渋谷色浅川」、鈴木弘樹「よしわら」、蓮見圭一「水曜の朝、午前三時」、古井由吉「忿翁」、E・ケアリー「望楼館追想」、自作「これを読んだら連絡をください」、町田康「告白」、O・バロウズ「ハサミを持って突っ走る」、カズオ・イスグロ「わたしを離さないで」あたりかしら。
たくさん読んでるはずだけど、鮮烈な面白さを残した作品=時間を置いて繰り返し読みたくなる作品となると、実は余りない。
いつ読んでも好きだなあと思えるのは作品よりも作家の切り口だったりするから、結局は伊井直行とR・マキャモンの他、増えていない。
自分が読みたい小説を書くべきなんだけど、趣味が高尚すぎて
書けない。 チクショー。
- 2007/02/09(金) 04:18:01|
- 雑感
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「最悪」「よしわら」「水曜の朝、」は読んでいました。
もちろん「これを読んだら連絡をください」も。
装丁がとても印象的で、内容は…実はいちばん好きかもしれません。
ただ、それを読んだときは、まだ連絡が出来ませんでした(笑)。。。
- 2007/02/11(日) 21:19:02 |
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- kouta #-
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純文学系がお好みなんでしょうかね?
「これを読んだら…」は拙作の中でも一番純文学っぽいと思っているんですが、余りそう言ってくれる人はいません 笑
koutaさんは読んでなくても連絡してくんなきゃ嫌です。
- 2007/02/11(日) 21:30:14 |
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