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仕事部屋

2.21

10.( tenten)Magazineの取材で下北沢。
以下は1月に出た創刊号「創刊のご挨拶」より一部引用。

10.は東京に住む様々な国籍・人種のエディター、デザイナー、学生、翻訳家などのプロジェクトグループが作っている月刊誌です。
コンセプトはズバリ「人」です。「人はみんなそれぞれのストーリーがある」、それを伝えたいという素朴な発想から始まりました。仲間を集め、工夫した結果、シンプルで読みやすい10問答のフォーマットと、日本人はもちろん外人にも読んでいただくため、日本語と英語を中心とした他言語のインタビュー雑誌が生まれました。


今どきウェブマガジンじゃなくカラーページの雑誌、フリーペーパーというのが泣かせる。
しかもコンセプトが「人」となれば、芝居でも小説でも「人」だ「人」だと馬鹿の一つ覚えのように唱えている私が共鳴しないはずがない。
加えて、このところどうすればお金になるかという発想に逆行して、どうすればお金を取らずにやっていけるか、に興味が向いているので、スタッフは皆本業があってテンテンは持ち出しで作っていると聞き、思わず今後は作り手として参加させてくれと食いついた次第。

毎月の発行が10日で、毎月配布のためにリリースパーティーをやっていて、10,000yenと5,000yenの二通りあるスポンサーカードを購入するとパーティーでドリンクがサービスされたりする。

なんだかもう、やってることがカワイイ。
なんつうか、気張ってないところが、いい。
カッコいいことやろう!と力まなくてもそれなりにカッコつくことができちゃうのが、今どきの世代だなあと思う。

広告のない純度の高さがどれくらい保てるかわからないけれど、配布されて手にした読者が誰も知らないような人を10問インタビューの対象に二カ国語記事、という姿勢が、かつて劇団の芝居で新人に二カ国語~四カ国語の前説をやらせていた私の感覚にはかなり面白いことに思える。

「人はみんなそれぞれのストーリーがある」と言うんだから、私ももっと飲み屋っぽい話をすれば良かったのかもしれないけど、10. に因んでデビューから十年になる小説稼業の話がメインになった。

確かに人を物語るのに10問は少ない。
それでも、10問の受け答えから覗き見る「人」、という切り口が、これも、本がLPレコードのように高級嗜好品となりつつある今の状況において、雑誌や読み物アプリなどはあれこれ盛り沢山主義をやめて書評コラムだけとか、日記コラムだけとかの一点主義にすべきと考える私には頷けた。

カナダ人カメラマンと韓国人デザイナー、韓国人インタビュアーと私が「ほら、日本語でなんていうんだっけ」とたどたどしく語り合ったのは、電子書籍用端末に始まるテクノロジーの進歩と、それについていけない社会の仕組みと人間の能力の限界、みたいなことで、「カナダのAmazonは本しか売らない」と聞いて爆笑したり、雰囲気は学生新聞の記者というか、まあ段取りもよろしくなく素人丸出しには違いないのだが、それがマイナスにならないのは、彼らが皆それぞれ10.とは別に自分の目的を持った大人であること、なんだろう。

発行される都市は主に東京で、パーティーをやる渋谷と原宿が多いんだとか。その他に、パリ、ソウル、シドニー、サンフランシスコなど9~10都市で配布予定だそう。
因みにスタッフに日本人はいない。
私が最初の日本人スタッフになるのかもしれない。
ところどころ日本語として微妙な感じも、私がスタッフになれば解消するはずだ。

雑誌が文化の中心だった時代に育ったんだなあと、今は思う。
平凡、明星はもちろん、ビックリハウスや話の特集、奇想天外を愛読するませた子供だった。
カストリ雑誌、という悪口があるけど、昔からそれ系が好きで、いかにもなものを見つけると必ず購読した。
カジノフォーリー、OnAndOnなど編集長たった一人で作っている雑誌とは読者であるというだけで後々に縁ができたりもする。
OnAndOnは、劇団の旗揚げ公演のときに情宣の資料を送ったら即効でページを割いてくれ、まだ旗揚げ公演も打ってない小劇団の座長としてインタビュー記事になった。掲載された第4号が最後になって廃刊したけども、その編集長とは今も連絡を取り合っている。
カストリと呼ばれた質の悪い密造酒を飲むと「3合で酔い潰れる」からきているカストリ雑誌の運命として、4号出せれば上出来だよと、あの頃は笑っていたけれど、編集長は寂しかったに違いない。

10.も私の記事が掲載されるのは4/10発行の4号になるはず、カストリにならなければ。


10tenMag.jpg
どこかで10. を見かけたら、ぜひ持ち帰ってためつすがめつしてやってください。

 
http://10tenmag.com









  1. 2010/02/21(日) 21:45:21|
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