最近観たのは、小谷忠典監督「子守唄」、山崎樹一郎監督の「紅葉」、木村文洋監督「なしくずしの志」。
どれも面白かったけれど、公開期日の終わりにしかチャンスがなかったので紹介せぬまま、
「子守唄」、「LINE」と同じテーマを内包しつつより圧倒的な力強さで物語っていて、役者の力、物語の力を信じさせてくれた、「LINE」を観たときに感じた踏み込めない一線を越えるには「演出」しかないだろうと思ったのだけれど、それを確認できたことが嬉しかった。
「紅葉」、岡山で農業を営む監督が取ったトマト農家の話、トマト農家といえばついつい「遠雷」なので、閉塞感がエロスにならない不満はあれど、トマトと同じように、丁寧に誠実に作られた映画で、観ていて心地良かった。
上手に撮っているのになんだか気持ち悪い、と感じさせる映画もあるのだから、実はそういうことってささやかだけど大事な力なんじゃないかと感じた。
「なしくずしの志」、冒頭1分から笑いを堪え通し、「へばの」の文洋に笑わせられるとは思っていなかったのでちょっと驚いた、WSで芝居を作るときのやり方に一番近い手法だったのだろうと思う、何故「へばの」は吉岡だったのかもなんとなく察した気にさせられた、「パンの全体図」という台詞が猛烈にくすぐったので「食パンだよね?」と訊いたら「いえ、コッペパンです」という答え、浅はかに言葉遊びをしているわけじゃない、生々しい実感から生まれるどうしようもなく下らないそれがエチュードの原点なんだなあ、役者の文洋はなかなかいいのだけど、見せ場の芝居はダメだと言ったらこれも「あの場面は評判がいいんです」とヌケヌケ、語られていることの軸はまるきり「へばの」と同じだけど、ちゃんと群像劇。
原稿作業は50枚の短編のつもりで書き出したものがうっかり長編構成になってしまい、どうしたものやらという感じ、書ける状態からしばらく遠ざかっていたのだけど、これらの映画に煽られて、ぼちぼち手が動く。
- 2010/06/28(月) 04:54:46|
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