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仕事部屋

11.11

5日にアップリンクで「眠り姫」、翌日に差し替わりで「ホッテントットエプロン-スケッチ」ともに七里圭監督、インディーズで有名な二作品を今更ながら確かめて、ふむなるほどと勝手に共感、PFF同期というだけでなく、何かしら七里さんに「わかってもらえそうな」気がするのは解体の方法論かもしれない、演出の孤独を感じたとき、七里さんが来てくれていて、その顔を視た途端に涙が零れた、演出の役割を承知してる人だからね、てな話を吉岡にしたら「いまおかさんの顔じゃダメなんすか」と、確かにその日にはいまおかさんもいたのだけど。

「ホッテントット~」の前には巷で評判の「スプリング・フィーバー」を観にシネマライズ、配給が猛烈なテコ入れしてる印象だったのに客席は淋しげ、天安門事件に触れた映画を発表したことで映画製作を禁じられている中国のロウ・イエ監督がこそこそ家庭用ビデオカメラで撮影したという映像が美しかった、確信するものがあることの美しさ。「天安門~」でメロドラマに感じた部分もこれくらい悲愴さを纏うとかえって淡々としたものになるんだなあと、描くものがある人の強さを感じた。

9日には阿佐ヶ谷ロフトAで映画一揆のトークイベント、井土紀州氏を筆頭にインディーズ映画作家そろい踏み、Ust配信を大宣伝しながらそうした方法論についてのアンチテーゼを唱える切り口も面白かったし、若い作家の揚々と若くない作家の悶々が噛み合ないままの実直な進行にかすかな希望が見えた気がする、そもそもトークやって問題が究明できちゃったら映画作る必要なくなっちゃうもんねえ。

芝居終わってどっと押し寄せる疲労の波が、そんなこんなで遅れがちだった今週、千秋楽からようやく一週間なのにもう三年も五年も昔のことのように思えるモグラの日々、作り手ばかりが顔を集めるところに居座ってると毒が回る気がするんだよなあ、自家中毒、皆の話は聞き漏らさずにいたいし自分のことも少しは知って欲しい、けれど偉そうなこと喋るそばから「何者でもないくせに」と自分を責める気持ちが湧いて恥ずかしくなってしまうのも事実で、できれば口にガムテなど貼って飲み屋の片隅でじっとしていたい、いい年しての自我の悶々、どこに向ければいいのやら、何者かであろうとする力強さに触れるたび、もっと薄く淡く黙々淡々何者にもならないままで生きていけたらと自分を消してしまいたくなる。


自我の悶々に堂々決着をみせた男、井土紀州の全作品連続上映が、今週末からユーロスペースで連日21時。
11/22(月)「犀の角」上映後には吉岡睦雄と井土監督のトークに私も参加します。

七里圭監督「ホッテントットエプロン-スケッチ」は今週金曜までアップリンクXのレイトショー、連日20:50~。
美しく優しく力強い、遠景。
  1. 2010/11/11(木) 00:58:46|
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