仕事部屋

11.16

怒涛の映画一揆が始まって連日のユーロスペース通い、口開けは噂に名高い12年前の作品「百年の絶唱」、大変な大入りで立ち見まで出るも収まり切らずに急遽追加上映が決定という快挙、丁寧に丁寧に塗り重ねられた油絵のごとく思想と実践、生活と創作の厚みを感じたのは12年ぶりの上映という枠の中でのこと、映画を出来事として観られる貴重な機会に巡り会わせたのは幸運。

2日目3日目には二部構成のドキュメンタリー作品「レフトアローン」、描き方には井土さんのエンタメ職人気質が覗けていた、「これって、新左翼版あの人は今、だろ」が零れた荒井晴彦+上野昴志両氏とのトークもシャープ、語れるものがある世代の顔、凪いだ表情、呪術めいた言葉の波がひたひた沁みる。

日曜は母校100周年の同窓会で、初等科卒業ぶりの懐かしい顔ぶれにそれぞれを想う、二次会抜けてタクシーで渋谷に向かうも酔っていたので途中から自宅に向かうよう指示してしまい「円山町っておっしゃってましたが」と運転手が呟いたのを聞いてはっと我に返った、顔や言葉がごっちゃになって足立正生が母校の先生だったように感じたり同級生がアジってたような混乱、みっしり苦労と幸福とをスーツの下に纏った同級生たちは持たざる者が生み出そうとするこんな生き方知らないんだろうな、四十過ぎて映画のために走り回ってる連中はスーツ着た闘い方知らないんだろうなと大雑把に分別して同窓会の三次会に戻り能天気な朝帰り、醒めて思うのは私自身が未だ何もせずにいる焦燥。

映画一揆、今日と明日は劇映画「ラザロ」三部作、本日は「ラザロ~蒼ざめたる馬」と「ラザロ~複製の廃墟」、明日が「ラザロ~朝日のあたる家」、明後日の「行旅死亡人」までそれぞれ一日限りの上映が続く。
その後11/19~26「犀の角」、11/27~12/3「土竜の祭」、12/4~10「泥の惑星」があって、映画一揆は終了。
12/18からは吉岡がモグラ町稽古入り直前に撮影した最新作「ピラニア」がポレポレ東中野のレイトショーで封切り。

スピリチュアル・ムービーズの吉岡Pが「金がなかったら時間を使うしかない、時間がなかったらやっぱり金を使うしかない」と言ったそうだけど、血の滲む言葉だ。


  1. 2010/11/16(火) 17:11:46|
  2. 雑感
  3. | trackback:0
  4. | comment:2
<<WSお申込みの皆様へのお詫び

comment

先日はアゴラ劇場でたいへんお世話になりました。
握手していただいて、受付を案内していただいて、本当にとても嬉しかったです。
いつまで経っても克服できない人見知りで、ろくなご挨拶ができなかったことをお詫びしたいです。
眩しいような気持ちでお芝居を拝見しましたが、前回の『モグラ町』を観に行ったとき以上に居心地良く観ていられて、今回は、これは夢見心地なんだなあと思い至りました。
夢は個人にとってかけがえのない必然を柱にした、いつかあってもおかしくなかったような場面の止めようのない連続ですね。
そこでのささやきや出来事に対する理解に構わず、逃れられないものに立ち会わされ続けるわけで、『モグラ町』という劇からは、その奥に夢に似た必然がひしひしと感じられました。
その夢の中で、熱い食べ物から湯気が立っていることが、その迫真さにとってどれほど重要なことか。
後で必ず忘れてしまう夢の中でも、できるだけ誠実にこの場面に対したいと思う緊張は、そうした現実的な刺激が起こすのだと思います。
夢の後目覚めて、記憶はなくても悲しさが残っていたり、涙が流れていたりするのは悪くない思いのすることで、自分にとって今回の観劇はそんなふうな体験でした。
夢の持つ必然の力を人の手で導いてきて作品に定着させるというのは、とんでもないエネルギーが要ることなんだろうな。
文字通り身一つでそれをやり通してしまう役者さんたちを見て、そういうことも理解できた気がします。
肉体だけを見せて事を成しながら、肉体以上のものを犠牲にしているのだと。
舞台の上では現実と夢がひとつになっている。
たとえそこで誰かの頭がかち割られたとしても、それを劇として見ていなければならない、そういう約束も感じました。
一度始まった劇に立ち会っている以上、観客も共犯者であることを引き受けなければならない。
その災いの力は、映画のスクリーンやテレビ画面では絶対にふれられない、恐ろしいものだったなあ。
否も応もなく自己責任で巻き込まれるのが現実であり、夢であり、その度合いが強ければ強いほど、自分がその場に実在している実感が強くなる。
そういう働きを人の意思の力で組み上げてしまう、演劇の、前川さんの強い魔力を教えていただきました。
それはいまだに腹の中に残っていて、普段慣れ親しんでいた安いニセモノを呑み込むことを自分に拒否させています。
当日は金額以上のものをもらったと思っていますが、手に取れないものにお金を払って得るものの重みを知りました。
二度と立ち会えないそういう場にいられたこと、ありがたかったです。
本当にありがとうございました。
  1. 2010/11/16(火) 21:12:45 |
  2. URL |
  3. レフ #-
  4. [ edit]

>レフさん

コメント遅くなり失礼しました。先日はお足運び戴きありがとうございました。
お声かけて戴けて良かった!お顔が判るとコメント拝見しても一層温もりを感じます。
「二度と立ち会えない」瞬間を作り上げることが芝居の使命と思いますので、そこに価値を見出して戴ければ何よりの本望、台詞やらお話やらはその瞬間を見つけるときに邪魔にならないようなものであれば充分と思っていながら、そこを楽しみたいお客様を見捨てるわけにもいかないし、まだまだ模索の必要がありますね。
正解やゴールがある道のりではない分、満足しない力こそが歩みと覚悟しています。
あっという間に年末で、またあっという間に稽古入りになるのでしょう。
また劇場でお会いできる日を楽しみにしています。
  1. 2010/11/24(水) 02:20:32 |
  2. URL |
  3. まえかわ  #-
  4. [ edit]

contribute

display in just the manager

trackback

Trackback URL
http://workroom.jp/tb.php/982-53ae9060
trackback for FC2 user