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仕事部屋

夕方からの抜き稽古、夜の通し稽古が続いている。
役者と生演奏との呼吸も取れてきて流れができてきた感じ、役者は毎日「苦しい、苦しい」とぼやいているが、早くから稽古についてくれている音響のナベさんなど「見るたびに面白くなってるよ」と安心させてくれるし、中身が見えてきたら進めようと計画していたオープニングも、オープニングを含めての流れができたら進めようと準備していたエンディングもようやく最終ステップに辿り着き、演出としてはかなりいい仕上がり具合なんじゃないかと思う。

結局、あたしは作る過程が好きなんだろう。思い通りになっていくことではなく、想定外の部分に対応するあれこれをその場で提案して、予想以上の結果に辿り着いていく、そこが一番面白い。
どんなに心血注いで作り上げても、初日が開けば終わったも同然、千秋楽を迎えればすべてが壊されて跡形もなく消える儚さが芝居ってやつで、人の手元に残る本を作る作業とは根本が違っている。
芝居は、人の手に渡った途端に作る人の思惑から離れた別の何かになって残されていく、その、一種の無責任さが自由なんだろうと思う。
個人のブログの記述だって槍玉に上げられる今どき、差別用語や危険発言を言い放てるメディアってのは芝居しかないし、それらは過去の演劇人たちが世の中と闘って守り抜いた自由だってのも感慨深い。

ナベさんが、「作っては壊し、ってのばっかりをやってきてるんだから、そりゃ何かを大切に守るとか続けて行くってことは、今更もうできないよなあ」というようなことを言っていて、なるほどそうだと深く納得、三十年以上作っては壊すことを当たり前に繰り返しているあたしに、結婚生活とかを大切に守り続けることなどできるはずがないじゃないかと。
しかし、塩野谷さんも千里さんもちゃんと結婚生活を長く維持していて、どおりで芝居がガンコだよ、という話かというと、んなこたあないわけで。
因みに塩野谷さんには27になるお嬢さんがいるし、龍さんには孫がいる。生演奏「モグラーズ(仮)」でパーカッションをやっているフジッコは昨日27歳になった。
つくづく、芝居ってのは不思議な縁で集まってくるもんだと思う。

人がいて、暮らしが見えて、人生が透ければ、町になるだろう。
住む人、出る人、帰る人、死ぬ人と生きる人。
ドラマは、出来事にあるのではなくて、人の中にあるのだと思う。

「モグラ町」e+(イープラス)でチケット取り扱い中



  1. 2008/02/29(金) 11:30:44|
  2. 雑感
  3. | trackback:0
  4. | comment:1
<<ご飯食べる時間がない。

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追記

今日わかったのだが、前述した、塩野谷さんの娘とフジッコが同い年なのは当たり前で、その後、フジッコと塩野谷さんちの娘が偶然にも高校で同級生だったと判明。いやはや、まさに不思議な縁があったんですな。そんなことだけでも、いい座組に思えてしまいます。
  1. 2008/03/04(火) 02:12:07 |
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  3. まえかわ #-
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