仕事部屋

荒野を目指す。

今年最初のワークショップはとても充実した、日曜のみ見学可と地道にツブヤキ続けた甲斐あって、ぶらり覗きに来てくれた人が思いのほか多く、それを当て込んでのメニューもお陰さまで手応えあり、もう1回同じスタイルやってみて、また違うスタイルを試して、自分が出演する芝居が終わる頃にはそれなりの何かを定着させていけるんじゃないだろうか、京都から来た卒業間近の女子大生、春から稽古場付き希望とのこと、いいねえ、人が出入りする、循環していく場に関わっていられるのは、本当に心地良い。

見学に来てくれた人たちも誘っての打ち上げ宴席、初参加組の感想や見物しての意見、レギュラー陣のやり損ねた苛立ち、我々の気負いなどなどワークショップの打ち上げとは思えない興奮状態で、珍しくウッチーが喋り出した、「マエカワさん、僕は」に続くぐだぐだな叫びを私はちゃんと聞けただろうか、ただ説教して撥ね付けたんじゃないかと気になってはいるのだけど、いかんせんこちらも酔眼でハイテンションだった、まあ踏ん張れや、という話。

ウッチーが最初に参加したワークショップは、こちらとしてもワークショップのスタイルを復活させた最初だった、それじゃあ終わりましょう、何か質問あればどうぞという時間に挙手して「僕はどうすればいいんでしょうか」と真摯な顔で寝ぼけたことを質問したウッチーは、あれからずっといる、ずっといて何も変わらないようでいて、きちんと前に進んでる。

もう何年前だか、歌うたいの青年と親しくなって、もっとたくさんの人に彼を見てもらおうと慣れない役割に取り組んだことがあった、その後そうした関わり方は終わらせて、もっとフラットな友人としての長い付き合いになっているけれど、もう前ほどどっぷり彼の歌を聴く機会もなくなっている、たまに会って呑んで喋って、ああなんだかつながっているなと思うことが、そのときそのときの自分の大事な何かだった、毎日のように顔を合わせていても歌を聴くだけだった昔とは違って、それなりの時間がかかったけれどもっとはっきりと手応えのある何かを手にしたつもりだ。

反省してるわけじゃないけれど、年若い友人たちとの付き合いの難しさを、私は彼から教わったのかもしれない、自分の時間の中で自分の心が痛まないと飲み込めないことを、せっかちに頭ごなしにあれこれ浴びせてうんざりさせるような、そうしてしまう自分にもうんざりしたし、ちょっとだけ傷ついたりもした、一括りに老婆心と済ませられないじりじりする気持ちがあるからだろうけど、私だってそんなことには気づいていなかった。

今の私は、あの頃よりもうちょっと大人だから、多分少しはマシだろうけれど、自分より若い友人に共感して同じ目線で語れることはとても少ない。
年上の友人には身を委ねられるのに、どこか突っ張って自分を預けられずにいる。
信頼とか尊敬とかの、そういう話じゃない。
多分私は自分の精神年齢の低さや、一般的な社会経験の乏しさ、常識的なことに対する無知さを誤摩化そうとしているんだと思う。

不思議なことに、年若い女の友人に対しては、あっさり自分を明け渡せる。
女には適わねえよ的な、オヤジ感覚としてのそれのような気もするけれど、取り繕わずに済む。
どうしてか年若い男の友人に対してだけ、某かの畏れや羞恥を感じる。

ハタチくらいの男の子にカワイイなどと言われても嬉しくなれずに「そういうこと言うお前がカワイイだろ」と思うわけだが、それもたとえばウッチーの年齢になるとカワイイとすら思えず「なめんなコラ」になり、30代の青年など私にとっては自分よりうんとお兄さんとしか思えない。

幼少時の家庭教師が皆大学生で、私はそういうお兄さんたちが大嫌いで、とても熱心に手作りのテキストなんかを作ってきてくれる先生に一言も口を利かなかったり手の甲に鉛筆を突き立てたりするたちの悪い子どもだった。
そのときと同じ畏れが今も自分の中にあるような気がしてしょうがない。
仕事の現場に入ったときも、周囲のスタッフには20代のお兄さんたちが多くて、私は15歳だった。
だから、今もスタッフ=年上のお兄さんと感じてしまう。

近頃のお兄さんたちは皆とても礼儀正しくて、年上の私をちゃんと立ててくれ、敬語を上手に操って不快な思いをさせられることもなく、「そうか私は彼らの前では分別をわきまえた熟女であるべきなのだ」と毎度思い知らされるのだけど、なんだか自分が未だうんと子どもで小さい体に大人用のブラジャーをつけて大人の女性のふりをしているような、居たたまれない恥ずかしさが消えない。

どうしようもないその感覚も、彼らがひたひた自分の道を歩む姿を見知ると、ふうっと楽になったりする。
もしかしたら、男の人には自分より大きな存在であって欲しいというような甘えた気持ちがあるからなのかもしれないけれど、こういう感覚っていうのは、後に生まれた人が先へ先へと歩いていくことでしか埋められないんじゃないのかしらと思ったりもする。

さっさと楽にしてくれ、もっと楽にしてくれと願いながら、しょうがない、踏ん張って熟女をやってくよ。


歌うたい・日比康造

2月WSのお申し込み受付も始まりました。今度も日曜のみ申込不要で見学ができます。
  1. 2011/01/25(火) 10:07:21|
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