仕事部屋 2009年12月

夜、アップリンクでの大久保プログラム、スクランブル交差点の真ん中で同じ目的地に向かうサヤカちゃんを見つけ連れ立って鑑賞、恵比寿映像祭の上映プログラムの中で好きだった二本がまた観られた、デジタル映像作品16mm作品共に充実した面白い企画でした。

特に大好きな「Block B」はサウンドをその場で入れるというライブ音効の試み、上映後のトークゲストは「Block B」サウンド・クリエイターの森永氏、役者がぼそぼそ喋る系の「空気感」をそれなりの「演技」に仕立てるのも昔ながらの職人的音効技術と思うけど、監督と1dbずつ確認して距離感重要視していたというところに今の技術を感じる。

映画館はこうしたショートフィルムを独自に買い取ってメインプログラムの合間にプロモーション上映すればいいんだと思う、テレビと同じコマーシャルを観せられるのはうんざりだし脅迫じみたアテンションも今更どうよと思う、こんな作品が世の中にあるって知らない人がたくさんいるんだし、何気なく観たショートフィルムの印象からお金払って観に行く作品のチョイスが十年後にはすっかり変わるかもしれないんだから。

16mmでカラーとモノクロ二本のフィルムをフレームを重ねた二台の映写機で同時に映すという試みの作品も面白い、映写機の音って大事だよなあ、映写室ではないところに映写機があるってのも空間としてとても魅力的だった、音とか熱とか光とか、きれいで居心地のいい映画館が増えるのは有り難いけれど、それらの体験が失われるのは淋しいことだと思う。

映像のノイズが音楽にすり替わると途端につまらなくなるのは何故だろう、音楽もしくは映像がどちらかの説明になってしまうからなのか、嘘に見えるからなのか、「何が写っているんだろう、何が聞こえるんだろう」と身を乗り出す感覚が削がれてしまう気がする、そこんところが限りなく絵画に近い映画ってことなのかもしれない、けどまあよく出来た映画なのに音楽の使い方が致命的にヘタなのもあるしなあ、好みの問題なのかもしれないけれど。

東大駒場寮の窓に私は台詞や物語を書きたくなるけど線を描きたくなる人もいるわけで、その「～したくなる」感覚が表現って奴なんだろうなあと打ち上げの席で雑談、キョウコ女史いらしていたので期せずしてガンホ会韓国ツアー組が勢揃いで揃い損ねたガンホ会忘年会の延長みたい、大久保夫妻と私が居残って墓や身内の映画の話、今年は本当にお世話になったので「よいお年を」と交わせて良かった。

因みにアップリンク二階では切通さんやら吉行由実女史やらが出演している作品の上映中できっと場内には今岡さんあたりもいたんじゃないだろうか、二階のイベントを見物にやってきた切通さんと土曜の忘年会ぶりに再会、度々の年越し挨拶で今度こそ「よいお年を」なお別れ、しかしなんといっても忘年会二つと今日のイベントで立て続けに一緒だったのはサヤカちゃん、五日間で三日も一緒にいるなんてまるで私たち交際中みたいじゃないか。

WS歴代酒豪ナンバーワンのK嬢証言より本駒込の顛末を推察。

恵比寿まで送り届けられた私は改札を出た途端、先日巣鴨を通ったのにも拘らず父の墓参りをしなかったことを思い出し、タクシーに乗り込んで「巣鴨」と言った瞬間からひたすら爆睡、巣鴨近辺で酔客を持て余したタクシー運転手、無理矢理に左肘を掴んで車から引きずり下ろし車にでこを強打してうめく私を路上に放置して料金も取らずに走り去る、一部始終を目撃した通行人が「大丈夫ですか」と駆け寄り、初めて覚醒する私。

てなことなんじゃないかと。

いや、ほんとすみませんでした、いろいろ。

午後から帆太郎とセンキんちでご馳走鍋、リレイと毎度の妙齢女子三人組でかつては男の話と仕事の話と病気の話だったのに今年は出産メインの話題で様子が違った、夕方に一旦帰宅して入浴、帆太郎は留守番でセンキ連れてガンホ会の忘年会、30歳男子に恋愛相談してるうちガンホ会初の満場一致で次々色んなことが却下されて撃沈、タクシー帰宅したらWSの朝までコースK嬢から「恵比寿のエスカレーターまでお見送りしたのですが」との衝撃証言、それはつまり私が恵比寿から本駒込まで出かけたってことなのか、謎は深まる一方、宇宙人に何かを埋められたでこのたんこぶが疼く、ええええええー。

アンファンテリブル忘年会、今年のゲストには切通さん、「茜さす部屋」星崎・「へばの」木村の両監督、若造、アルゴK女史、マツジュンとうっちーが裏切り逃亡、MさんとカズエとB・小形・吉岡でdmxに落ち着き、ケチャップで「裸」と書かれたオムライスを食べ終える頃には吉岡も小形も消えていた、外に出たのは朝八時過ぎだった気がするけど朧、見知らぬ人に「大丈夫ですか」と声をかけられ「おや」と気がついたら閑静な住宅街の真ん中にぽつん、どこだかさっぱりわからないが電柱には「本駒込」とある、日曜の朝十時半、静かな住宅街をふらふら彷徨うこと30分、途中何度もすれ違う人に「大丈夫ですか」と声をかけられた、本駒込の人は親切だなあ、何線の何て駅だかわからぬまま電車に乗ってより一層どこだかわからないところに運ばれ、判断力ゼロのまま電車乗り換え続けて三時間後にようやく恵比寿、左腕の肘が痛いのとおでこにたんこぶできていた。

流山児★事務所が紀伊国屋演劇賞の団体賞を受賞、親父には嬉しい賞だよねえ、団体やってくのってしんどいもんなあ、けどあそこの親父は本当にスゴいなあといつも思う、親しい分内側のあれこれの愚痴をその都度聞かされてもいるけど、なんだかんだ素敵な人がたくさんいるのが親父がやってきたことの結果なんだろうと思う、大勢の人たちの故郷で有り続けることはとても特殊なことだ。花は贈らないけど、心からおめでとう。

今朝はエロ短編「残光」の直し4稿、これまでになく丁寧な朱を入れてもらいじっくりやれた分、それがないとついつい手前味噌な折り合いつけて怠慢してしまう自分を反省、脚が痛くなるのが不安なので作業時間を短くして、合間にソプラノズの最終シーズンをけちけち半分、マキャモンとかソプラノズとか好きな男の子とかは手元から失くなるのが嫌でけちけち味わってしまう、その他多くのことはさっさと見切るし、片付いていない何かを抱えるのがストレス直結なのに、しかしまあ性に合わないぐずぐず作業の成果で脚は痛くなってない。

大鍋いっぱい牛脛肉とナスと白菜のトマトスープを作ったのでパスタが茹でられない、インスタントのペペロンチーノを試してみたのだけどやっぱり美味しくなくて悲しい。

外は風が冷たい、正午過ぎるとたちまちに冷え込むので、散歩が遅れると短毛種の犬が不憫だ。

ツダマキからお歳暮戴く、そういうことがきちんとできるのって大人の女だなあと思う、いつも年賀状すら出さない私は気まぐれにクリスマスカードやバレンタインの贈り物をすることがあってもまず習慣にできない、今年はカボチャ提灯も作らなかったし父の墓参りにも行っておらず、この時期なのにクリスマスリースも出してないや、あーあ。

そういやこの間の宴席で吉岡相手にうっかり軽口で男の子の話をした、酔ってたくせにそういうことは翌日にも残ってる、自分の口調が気になって翌日にわざわざ弁明のメールをしたら、「前川さんのお気持ちはしかと受け取りました、僕に任せてください」と根拠なく頼もしい返事があったのだが、吉岡にそう言われるとむしょうに不安だ。

編集氏から電話、「この漢字なんて読むんですか」と訊かれて答えられない、自分で変換してこんな難しい字なんだと思った動詞などちょこちょこ指示通りに直して改訂5稿を送信、あとはクリスマス頃にゲラが出る予定ってことはクリスマスと浮かれておられず、ゲラが遅れて年末になったら正月明け戻しでのんびり出来ずの年末進行、長篇やってるよりマシだけど、思えばこれほど仕事がなかった今年の年末年始も原稿がある、この十年は家族と家で正月を迎えたことがないじゃないか、つうかもう十年目なんだなあ、などと考え出すと暗澹、これから寝る。

不況の年ほど忘年会が盛況という一例として、明日はアンファンテリブルの忘年会に倒れる覚悟で行く、参加の皆さんは介抱の心構えで来い。

モグラ町観に来てくれていた星崎久美子監督の「茜さす部屋」を観に渋谷アップリンク、トークゲストで来ている吉岡「何しに来たんですか」いまおかしんじ「こんなところで何してるんですか」と嫌そうな顔、屯しているといころに事務所の社長が通りかかり「すいません、また改めて」などと腰の退けた挨拶。

星崎さん25歳のときに撮った映画というけれど、視点や発想は18歳の少女が「30になってこんなだったらどうしよう」的に妄想してる印象、しっかり映画になってしまっているところがゼロ年代（なんじゃそら）の底浅さなどと意地悪く観たけれど、カワイイから許す。

打ち上げにお邪魔して毎度の長っ尻、吉岡が先に帰ってからは取り残された若造が大暴れ、勝ち組女子監督「ウザイ」連発、勝負放棄のアラフォーK女史＠アルゴも「めんどくさい」連発なるも、優しい今岡さんが「俺コイツと付き合ってるっけ」と自分で首傾げるくらいお世話していた、男の母性っていいね、四時前に解散して山家に向かう女子供と別れ千鳥足徒歩帰宅。

飲んでも脚が痛くならなかったのをいいことに調子こいたから今朝は頭痛で起き上がれず、アルカセルツァー一気飲みして二度寝、ぶんぶん電話鳴って起きたら午後三時半、メール39件確認して編集氏に電話、諸々の指示戴いて三稿に取り掛かるところ、阿佐ヶ谷の龍馬の旗揚げ公演行けずで御免。

映画と絵画の境界線上で。

2月の恵比寿映像祭で公開された作品群が再上映の機会を得て渋谷で観られる。

『on the border of cinema and painting redux 』
12/19~12/22@渋谷UPLINK FACTORY

気取っちゃって覚えづらいタイトルにしなけりゃいいのになどと思うが、恵比寿映像祭での「映画と絵画の境界線上で」というテーマのままキュレーター大久保氏（＠ガンホ会発起人）の「信じる力」が溢れるセレクト。

映像祭には三度ほどしか足を運べなかったのだけど、その時に観た奴は、ぼやあーっと視るも良し、びりびり刺激されるも良し、好き勝手な物語を読み取るも良しで、前衛っぽいものが苦手な私も静かに興奮、スクリーンに視たもの全部をちょっと変わった風景として鮮明に記憶している。
力の余波で観た後は見える現実の風景がちょっと歪む感じがするから、写真美術館で観るよりアップリンクで観た方が面白いだろうな、渋谷の街がどう歪むか確かめたい。

舞台でダンスを観て「人の肉体」の魅力にがっつり掴まれるのに似た感覚、何が描かれているのかよりも、何かを描こうとする人の底知れぬ欲深さを視る、という点においては正しく絵画との境界線上にあるものなんだろう。
上映期間がとても短い上に予約制らしいので、ミツメル意思ある方に足を運んで戴ければ何より。

朝九時起き、十一時半に出発してにしすがも創造舎で庭劇団ペニノ千秋楽の当日券に並ぶ、天気いい日の昼間に劇場にいるなんて人生負けた感じがして嫌なのだけど昼過ぎから曇ってきたので嬉しかった、ちずもイクマも久しぶり、この二人を紹介したのはキャラメルでイクマと二人芝居やったときで、二人は十年ぶりにして初共演と笑っていた、本編、まずは会場のたっぱがあって気持ちいい、幕があるのもいい、美術セットは評判通りだが「ふむ、箱庭療法の庭劇団か」と勝手に納得した、きっかけ多く加減がキツくで裏は大変だろうけど、やりたいことがちゃんとある人なんだなあと思えたし、演劇を知らない人が手探りのまま不本意にどっぷり演劇やってる感じが面白かった、終演後はあたふた挨拶して即効で帰宅、吉岡を取材中の切通さんの電話取材を受けてから、犬連れでWastedTimeの宮古食堂なる大ちゃんのイベント、板前姿の大ちゃんが手料理を皆に振る舞う和やかなイベント、大張切りの宮古ブルーこないだより断然良い具合、八大さんの新コンビもチャーミング、タイムキャンプの好きな曲またタイトル教えてもらうの忘れた、ウタゲのすごくいいテンションが見れて嬉しい、808もTimeCampもウタゲも仲良くしてもらってるので今日はオープンラストかと思ったが、ビール一本呑んだらずっと痛みのなかった脚にずきんときたのでアルカセルツァーに切り替え、素面のまま超ローテンションで見物、呑まないと人見知りしちゃうのでそそくさ帰宅。

昔からの癖で一日に一つの用件しかこなせない、中学生の頃も、学校の帰りに仕事があれば学校を休んだし、大人になってからもずっとそう、理由はパニック障害があって移動するのがしんどいからで、知ってる場所ならいいのだけど一人で知らないところに行ったり乗り馴れない電車に乗ると度を越えて緊張する、そうなると無事に目的地に辿り着くこととか無事に電車を乗り降りすることがメインイベントになって後がまったく役立たずになってしまう、今日も誰かと一緒だとか知り合いに会えるだとかの安心要素がなかったら途中で泣きながら帰ってきていただろう、丸一日出歩いて二つも目的を果たせたなんて、かなり頑張ってきっちり結果を出したというところ、今日は、爆音のライブハウスに丸三時間以上微塵も動揺せず付き合ってた帆太郎も、かなり頑張った。

昨夜のうちに直しチェックの入った原稿が戻っていたので今朝は早起きして直し作業、途中散歩に出たら太腿の裏が筋肉痛のように痛みだし脱力、変な痛みだなあと思っていたらすぐにまた脹ら脛が同じように傷んで脱力、片足びっこで帰ってきた、この季節になると足首が痛くなるので捻挫の後遺症と思っていたが、左脚一本丸ごと痛くて歩けないなんて初めて、作業続けるうち足先の親指が猛烈に傷み出したのでテルコにメールしたところ、「座骨神経痛では？」とのこと、整形外科に行くよう言われたので休み明けに行きます、なんせじっとしていられないほどの激痛が断続的にあって歩けないし立てないし座ってられないしだから眠れるか心配だけど、あんまりにも痛いのでものすごい集中力になり直し作業はきっちり夕方に終わらせた、明日はびっこで出かけます。

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